マット・ディロン、「ハウス・ジャック・ビルト」は「ホラーとコメディの絶妙なミックス」
2019年6月14日 15:00
[映画.com ニュース]「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「ニンフォマニアック」2部作などで知られる鬼才ラース・フォン・トリアー監督の新作「ハウス・ジャック・ビルト」(公開中)。シリアルキラーのジャックを怪演したマット・ディロンが撮影を振り返り、トリアー監督の印象や本作の魅力を語った。
本作は、1970年代の米ワシントン州を舞台に、建築家を夢見るジャックが、あるきっかけからアートを創作するかのように殺人に没頭していくさまを描く。
オファーに驚いたというディロンは、トリアー監督の脚本を読んで「すごくよく書けていたけれど、ほかのどんなタイプのものとも異なる……。覚えているのは、イタリアを彼女と車で旅行しているとき、僕は脚本を読んだばかりでそれに取り憑かれていて、運転しながら脚本を思い出して、吹き出してしまったんだ。彼女が『何がおかしいの?』と聞くから説明しようとしたんだけど、うまく説明できないことに気付いた。だって恐ろしい話だから(笑)。改めて発見したことは、この脚本はホラーとコメディの絶妙なミックスだということ。とにかく魅了された」と衝撃を受けたそう。
劇中はハードなシーンも多く、第71回カンヌ国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門された際には、ライリー・キーオとのシーンなどで、上映中に退出者が続出した。ディロンにとっても厳しい撮影だったようで、「準備している段階で、僕はあのシーンは演じられないと思った。それをラースに相談したら、『ただ僕を信じて』と言われた。だから僕は彼を信じたし、この経験は俳優として僕がこれまで行ったことがない場所に導いてくれると思った」と明かす。
トリアー監督との仕事は特別な経験になったといい、「幸運なことにこれまでさまざまな優れた監督たちと一緒に仕事をすることができたけれど、ラースはそのなかでも最良の監督の一人だ。俳優としての見地からすると、彼自身は認めてないかもしれないけれど(笑)、ラースは俳優のための監督だと思う」と絶大な信頼を寄せる。「プロットと構成のほかは、エモーションを優先にして、論理はしばしば窓から捨てられる(笑)。編集でつながらないようなところがあっても気にしない。そして、決して妥協しない。彼との仕事は素晴らしい経験だったし、本当に大好きな監督だ」と話した。