松山ケンイチ&早乙女太一、今石洋之×中島かずき「プロメア」で叫び、もがき、燃えた!
2019年5月25日 10:00
![今石洋之監督×中島かずき×TRIGGERの アニメ「プロメア」公開](https://eiga.k-img.com/images/buzz/78791/b6267a918961baa2/640.jpg?1558679722)
[映画.com ニュース] テレビアニメ「天元突破グレンラガン」「キルラキル」を手がけた今石洋之監督と脚本家・中島かずきが再タッグを組み、「キルラキル」のTRIGGERがアニメーション制作を担うオリジナル劇場アニメ「プロメア」が5月24日に公開される。主演を務めるのは、中島が脚本を手掛ける舞台やドラマに多数出演している松山ケンイチと早乙女太一。“常連俳優”である2人にはおなじみの中島かずきワールドだが、声優となると勝手が違う。「思いきりもがいた」というアフレコ現場での“激闘”とは――。筋金入りの「グレンラガン」「キルラキル」ファンである松山のアニメトークも止まらない!(取材・文/編集部、写真/堀弥生)
本作は、炎を操る人種バーニッシュが引き金となり、全世界の半分が焼失した「世界大炎上」から30年後の世界が舞台。高機動救命消防隊「バーニングレスキュー」の新人隊員ガロと、攻撃的バーニッシュの集団「マッドバーニッシュ」のリーダーであるリオの戦い、2人が直面する地球規模の“ある計画”を描く。ガロを松山、リオを早乙女が演じ、自治共和国プロメポリスの司政官クレイ・フォーサイトを堺雅人が担当した。
ド直球な性格の熱血漢ガロと、情熱を内に秘めた青年リオは、物語が進むなかで共闘関係へと変化していく。正反対の2人がコンビを組むという設定は、中島脚本のドラマ「ふたがしら」で松山と早乙女が演じた弁蔵と宗次に通じるものがあり、同作以外にも中島が座付作家を務める「劇団☆新感線」の舞台「髑髏城の七人」シリーズや「蒼の乱」に出演してきた松山と早乙女。そんな2人だからこそ、中島はキャスティングにおいて「『劇団☆新感線』の独特のリズムを理解してくれている方たち」と太鼓判を押し、今石監督も「今回のキャスティングは本当にはまりました!」と断言している。
主演2人にとっては、勝手知ったる中島ワールドなわけだが、いざアフレコが始まると、これまで通りにはいかなかった。
松山「リオやクレイとの場面を演じている時に、今石さんに『もうちょっと、尊敬している、憧れを持っているような表現をしてほしい』と言われたんです。それが難しくて。尊敬や憧れを表現しようとすると、表情や仕草を使うことを考えてしまう。声だけで表現するということが、わかる人にはわかるんだろうけど、僕にはわからなくて、『まだまだだな』と思いました」
「僕は『グレンラガン』と『キルラキル』に熱さをもらいました。それが自分の活力になったんです。でも、熱さを表現するには、僕には全身が必要だったし、衣装が必要だったし、メイクも必要だった。好きという気持ちだけで乗りきったような気がします。声優の皆さんの表現力はやっぱりすごいなと思いました」
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一方の早乙女は、「体の表現を封印され、声だけで演じるうえで、リオというキャラクターの芯の部分にある大きな怒りや悲しみを一番意識しました。『軽くならないように』というか」と静かに振り返る。中島脚本作品では、ミステリアスな役を担当することが多いが、「クールでミステリアスな役が続くと『別のクールにしようかな』と考えることがありますが、今回の役に関しては、今まで演じてきたものを存分に詰め込んだというか。今まで演じてきた役の要素も盛り込まれているし、新しい要素も含まれています」とこれまでの経験が生きた。
当人たちは、慣れない声優業に悔しさを感じる場面もあったようだが、慣れないからこその“必死の叫び”には確かな熱量がある。彼らの“熱”が凝縮されている場面が、ガロとリオがタッグを組み、クレイと戦う場面。松山、早乙女、堺は一緒にアフレコを行い、バトル終盤、3人は叫びに叫んでいる。
松山「3人一緒に『いっせーの!』で海に潜ったみたいな感じ。そして思いきりもがいた。潜って、もがいて、3人で一緒に作ったという感覚です」
早乙女「同じ空間で一緒にアフレコができて本当に良かったです。個別の収録だったら、できなかったシーンだと思う。絵に(声を)合わせるのに慣れてないので、自分のことで精いっぱいだけど、前の人の声が自然と(耳に)入ってくるので、その声に刺激されました」
ガロとリオが声をそろえて叫ぶ場面も息ぴったり。松山が「太一くんは合わせるのが上手なんです。僕が好き勝手暴れまわっているなか、空いている間を太一くんが埋めてくれた」と全幅の信頼を寄せると、早乙女も「松山さんがブースに入った第一声から、全力でガロのように突っ走ってくれたので、それについていきました」と応じ、名コンビぶりをうかがわせる。
そして、2人を追い詰める堺の気迫もすさまじかった。
松山「すごい迫力でした」
早乙女「すごかったですね!」
松山「堺さんの『その程度の装甲など、紙! 同・然!』ってセリフ、とても面白かったです。あと『勝手に妙な名前を! つけるんじゃ……ない!』とか(笑)。役者としての表現力が素晴らしかったです。本当に勉強になりました」
早乙女「『そーこーまーでーだー!』もありましたね(笑)。堺さんの叫びのエネルギーは本当にすごかったです。全部の言葉が必殺技に聞こえるくらいの狂気のエネルギー。それに歯向かうつもりで、必死に抵抗しました」
ガロとリオ、2人の叫びに込められた“熱さ”の源となったのは、共演作「蒼の乱」や「ふたがしら」で培われた松山と早乙女の信頼関係、今石監督と中島への信頼、中島脚本への理解とリスペクト。そして忘れてはならない、松山のアニメ愛だ。「グレンラガン」への思いを「見れば見るほど、どんどんはまっていって、最終的に『これなしじゃ生きていけない』みたいな感じにまでなりました」と熱弁する松山。今石&中島アニメの熱烈なファンであり、俳優として舞台やドラマの中島脚本にも触れてきた松山だからこそ、気づいたことがある。
「ある意味、かずきさんの完成形。それが、僕が『グレンラガン』とか『キルラキル』に感じたものだったんです。もちろん、いのうえ(ひでのり)さんが演出する新感線の舞台も、入江(悠)さんが演出した『ふたがしら』も、やっぱり完成形だとは思うんです。でも、生身の人間では表現しきれない部分もあったんじゃないかなと。今石さんがアニメーションで表現することで、熱さや表現力みたいなものが何倍にもなるんですよね」
早乙女には、生身の人間にはできない表現が可能となるアニメーションの世界だからこそ、実写の現場では味わえない喜びがあった。
「アニメーションは、生身の自分にはないようなエネルギーがあると思います。だから、アニメーションに負けないくらいのエネルギーで声を出さなきゃと思って演じました。技名を叫んだり、アニメじゃないとなかなかできないことも経験できました。子どものころからの憧れを実現できた、体現できたのがうれしかったです」
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