三池崇史監督「初恋」カンヌでお披露目 とんぼ返りの窪田正孝は会見で感謝にじませる
2019年5月18日 15:51
本作はオリジナル作品で、ボクサーのレオ(窪田正孝)がヤクザに追われるモニカ(新人/小西桜子)と偶然街で出会ったことから、ヤクザ同士の抗争に巻き込まれる物語。窪田、小西を囲んで大森南朋、染谷将太、内野聖陽、村上淳、ベッキーら濃いキャストが集まり、三池流の切れのいいバイオレンスとユーモアに、ボーイ・ミーツ・ガールの要素も加わって、カンヌの目が肥えた観客から喝采を浴びた。
上映後、小西とともに登壇した三池監督は、はじめにシンプルな題名の意図を聞かれ、「よくありがちな映画を作りたかったからです」と答えて笑いを誘った。さらにキャストについて、「日本においてはひとりひとりが主役を演じられるような有名な人ばかり。彼らはふだんいい人を演じたり、共感できるような主役を務めているために、俳優としてはストレスが溜まっている。そんなストレスをこの映画では爆発させてもらえるように、いわゆる人に褒められるためではなく、自分が演じて気持ちいい役柄をそれぞれに演じてもらいました」と語った。
モニカ役の小西に関しては、「実力のある男たちが集まるなかで、日本人としてリアリティを感じてもらうために、(モニカの役は)まだ見たことのない新人に演じてもらいたかった。3000人の書類審査のなかで、『あ、いたな』と思わせてくれたのが彼女。演技経験はなかったですが、初めてお芝居をする女優さんの魅力が出せればいいなと思いました」と説明した。
一方、三池監督との仕事について尋ねられた小西は、「初めて映画に出演させて頂き、右も左もわからない中で、三池監督や共演者の方々に助けて頂いたんですが、さっき監督も仰っていたように、演技のテクニックを教えてくださるというよりは、自分のまっさらな状態を生かして、引き出して頂いたので、当時のわたしにしか出せないものが出せていたのではないかと思います」と、語りながら感極まり、涙を見せた。
現在テレビドラマを撮影中の窪田は登壇できなかったが、上映に先駆け1泊だけカンヌを訪問。三池監督、小西、プロデューサーらとともに、日本の報道向けの会見を行った。今回が初カンヌとなった窪田は開口一番、「三池監督に映画の聖地、カンヌに連れてきて頂いて感無量です」と発言。すると三池監督が隣で、「カンヌ無量!?」とツッコミを入れ、笑いを誘う場面もあった。
三池監督と窪田は10年前、テレビシリーズ「ケータイ捜査官7」で初コンビを組んだ仲である。その後「十三人の刺客」でも顔を合わせているが、今回は窪田が以前からやりたかったというボクサーの役柄であり、映画を牽引する立場。そんな重責を果たした窪田は、「10年前の三池監督との出会いは僕の原点。恩師として今も変わりません。撮影はすごく幸せな時間でした。日本のドラマではフラストレーションが溜まることもありますが、それをみんなで爆発させることができた。日本映画はこうあるべきだと思いましたし、俳優としてこうありたいと思いました」と語り、撮影現場の熱量の高さを実感させた。(佐藤久理子)
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