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矢崎仁司×山中瑶子 共通点は“反抗心”互いの処女作語る

2019年3月21日 14:30

矢崎仁司監督と山中瑶子監督「風たちの午後」

矢崎仁司監督と山中瑶子監督
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「三月のライオン」「スティルライフオブメモリーズ」の矢崎仁司監督が、1980年に発表したデビュー作「風たちの午後」デジタルリマスター版が公開された。LGBTという言葉もない時代、「女の子が女の子を好きになる」という物語を、美しく繊細に描き話題となった。本作の公開を記念しこのほど、第68回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に史上最年少で招待された長編初監督作「あみこ」や、現在公開中のオムニバス「21世紀の女の子」で注目を集める山中瑶子監督が矢崎監督と対談。両監督がお互いの作品から受けた影響や共通点を語った。(聞き手:金原由佳)

矢崎「『あみこ』は衝撃でした。山中さんは自分の映像言語を模索している映画監督だと思う。『21世紀の女の子』の山中さんの作品『回転てん子とどりーむ母ちゃん』も楽しく見ました。15本の中で、突出したものが山中さんの作品にはあるなと。それがなんだろうなと考えると、“反抗”かなと僕は思っていて。社会のいろんなことに反抗する。それが、僕が『風たちの午後』を撮ったときと同じ精神を感じました」


「回転てん子とどりーむ母ちゃん」「風たちの午後」

「回転てん子とどりーむ母ちゃん」
(C)2019「21世紀の女の子」製作委員会
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山中「突出しているものがないと言われるのかと思いました(笑)。矢崎さんにはいつも、見抜かれているような気がします。『回転てん子とどりーむ母ちゃん』は企画をもらったときに、ジェンダーのゆらぎというテーマにあまりとらわれず作りました。人が食事をしているテーブルの上に乗る、銃を撃つ、子供がいる前で性的な話をする、さっきまで生きていた鶏を殺して食べる、など、通常の社会では良しとされない描写を連続させた。社会の既成概念をはじめとした妙な何かにくくられたくない、という反骨心のようなものは『あみこ』も同様で、そうした精神性がありますね」

矢崎「僕は、『風たちの午後』公開時に、監督名を『女性の名前に変えますか?』と言われました。そっちの方が衝撃があったり、売りやすいのであれば、監督の名前は女の子の名前でもいいですよ、タイトルも違った題名でもいいですよ、と返事をしました。そういったことに意外と興味がないんです」

山中「えー、そんなことがあったんですね! 矢崎仁子として世に出るかもしれなかった。私は『21世紀の女の子』のパッケージの仕方に違和感を持っているのですが、その話は面白いです」

--矢崎監督の描きたい女性像は、俳優と圧倒的な共犯関係がなくてはできなかったのでは?


「風たちの午後」「風たちの午後」

「風たちの午後」
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矢崎「男性女性は俳優の仕事なんです。監督は人を見ているだけでいいので。性別が変わると映画も変わるっていうことがおかしい。女性だからこうしてって言ったことは一度もないです。やっぱり、人間としてその動きが嘘じゃないかと思うときにしか、言わない。だから逆に自由なんですけどね。性の枠に俳優を入れないんです。しっかり自分の性を生きている俳優さんに会えば、それで済む話です」

--当時、同性愛が異端視されるような時代。狂っていくように、だんだん思いのストッパーが外れていく過程が面白かったです。

矢崎「人が人を好きになるって、どういうことだろう、そこを見つめたいということだけだったんです。多分、(主演の)綾せつこさん伊藤奈穂美さんに出会えていなかったら、あの映画は存在しえなかったでしょう」

山中「後半のストーキングシーン、もしこれを『あみこ』を撮る前に見てしまっていたら『あみこ』ではできなかった。知らなくてよかったです(笑)」

--矢崎監督の処女作には、その後の監督の作品に一貫して通底する、愛を求めてやまない人間の原型が出ているなと思います。

矢崎「それは僕としては、かなり恥ずかしいですね。だんだん作品を撮っていくうちに、作り手の手を隠そうと思うんです。『風たちの午後』は、その手が丸見えみたいな映画なのですごく恥ずかしい。でも、尊敬する映画監督から何かを学ぼうとするときって、処女作を割と見るんです。ああ、若いなって思うところが割とあるので、そこがすごく勉強になります」

--お互いがお互いの作品で、印象深かったことをお聞かせください。


「あみこ」「風たちの午後」

「あみこ」
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矢崎「僕は、『あみこ』のシーンのはじまりの居住いで、この人はすごいって思いましたね。あとは目線。間違った目線は指摘できるんですけど、こう、正しい目線は指摘できない。その正しい居住まい、そんな風にしか座っちゃダメ、みたいな感じに座っている、それがどうやって、できるんだろう。これは勉強したいってすごく思いました」

山中「『あみこ』が処女作なので、それこそ手を隠せていなくてずっと恥ずかしいのですが…。矢崎監督の『三月のライオン』の(ヒロインの)アイスには影響されています。最近の映画って細身の女の子しか出てこないけれど『三月のライオン』のアイスは全然細くなくて、それがとてもかわいい。肉づきのよさがあるのは嘘くさくないし、まるっとしているところを隠さず撮りたいと思っていました。居住いは…そんな風に言っていただいて恐縮ですが、なんでか撮れてしまった(笑)」

「『風たちの午後』は、こういう映画を世の中に提示するんだという、ある種の驕りのようなものは一切感じなくて、監督が見たいものをだけを撮っている感じがしました。私もそれだけは忘れないようにしなければいけない。いまこのタイミングで見れたことが本当に良かったです。女性だけでなく、男性の描き方も、唸るシーンがいくつもありました。机上のものではない人間がいました。よく耳にする、女性監督らしい視点の「らしい」とは一体何なのか、など、考えこんでしまうこともありますが、矢崎さんのような監督が撮った映画を見た後では、本当のところどうでもいいことだなと思ってしまいます」

--矢崎監督はインディーズでデビューしてから現在まで、ユニークな道を歩まれてますね。

矢崎「僕は、常に僕を好きだといってくれる人を裏切ろうと努力しています。新しい映画を作ったときに、やっぱり矢崎だなって言われるのがいちばん嫌な言葉。あれ、裏切ったはずなのに…って(笑)」

山中「わかります! 今回『21世紀の女の子』では、『あみこ』と全然違うものを撮ろうとしたのに結果、世界観がわかりやすい。と言われて、えーっ…そうかな? って。難しいですね。ただ、矢崎さんの映画はどうしても矢崎さんですよ(笑)」

--最後に、山中監督にエールをお願いします。

矢崎「私を裏切り続けてほしい。『あみこ』で大好きになって、『21世紀の女の子』でやっぱり好きだなって思った。次に撮るときに、友達がいなかったら、私がいくらでも手伝います。また機関銃ぶっ放して欲しいです」

風たちの午後」は東京・新宿K's cinema、アップリンク吉祥寺パルコほかで公開中、「21世紀の女の子」は、アップリンク吉祥寺パルコほかで公開中。

(映画.com速報)
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