公開まで8年がかり 電動車椅子サッカー映画「蹴る」中村監督の思いにJリーグも協力約束
2019年3月1日 13:00
[映画.com ニュース] 電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」のバリアフリー先行上映会が2月27日夜、東京・本郷のJFAハウス ヴァーチャルスタジアムで行われ、中村和彦監督、横浜クラッカーズ所属の永岡真理選手、北澤豪・日本障がい者サッカー連盟(JIFF)会長らが登壇した。
本作は、「プライド in ブルー」「アイ・コンタクト」「MARCH」など障がい者サッカーをテーマにしてきた中村監督が、生まれながら難病「SMA(脊髄性筋萎縮症)」を患いながらも、ワールドカップの日本代表を目指す永岡選手を中心に選手たちの壮絶な生きざま、葛藤、恋愛模様まで追った渾身のドキュメンタリー。この日、日本語字幕版、音声ガイド版として初披露された。
中村監督は、「この映画は2011年7月、なでしこジャパンが世界一に輝いた前日から始まりました。久しぶりに電動車椅子サッカーを見に行ったら永岡選手に出会ったのです。すごく気持ちが強く出る選手で、一目ぼれしたというか、彼女を撮りたいと思いました。当初は4年で完成する予定だったんですが、ワールドカップ自体が2年延期になって、お金がない中、期間だけは長くなり、やっと皆さんにお見せできるところまでこぎつけました。重い障害を持った選手たちがこんな激しいスポーツをするんだということを観ていただきたい」と思いを語った。
医師から「2歳までしか生きられない」と宣告されながらも、小2の時に電動車椅子と出会い、17歳の時に日本代表を志した永岡選手は「この映画には、難病を抱えたたくさんの選手が出ていて、6年間の撮影の中、選手たちの様々な葛藤や思いが詰まったものになっていると思います。それぞれが抱えた課題に向き合っているところやサポートする方々の思いが詰まっています。私たちが命がけでやっているということをご覧いただけたら」と話した。
日本障がい者サッカー連盟会長の北沢氏は、「私も現役の時に『死ぬ気で』と思って、プレーをしてきましたけれども、映画を見ると、まだまだ力を発揮できたなと思うぐらい、電動車椅子サッカーの方々は死ぬ気でプレーしています。映画を見て、何かを感じていただいて、それぞれの立場で発信していただけると、障害者サッカーが大きく変化していくと思う」とアピールした。
また、社会連携を担当する米田惠美Jリーグ理事は「まだまだ障がい者のサッカーへの参加率は十分ではないので、障がい者サッカーに取り組みたい。一番大事なのは心の壁をなくしていくこと。混ざり合う社会をつくることで、お互いの共感を深めていければ」。また、上映に先駆けて、電動車椅子サッカー体験会に参加した原博実Jリーグ副理事長も「見た目以上に難しい。改めて選手の皆さんを尊敬しました。実際に体験すると、楽しく、ハマりそうな気がします。電動車椅子サッカーが認知されれば、選手の励みになるので、サポートしていきたい」とバックアップを約束した。
「蹴る」は3月23日からポレポレ東中野で公開。
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