真鍋大度氏、音声だけで展開するサスペンス「THE GUILTY」は「音響彫刻のような映画」
2019年2月2日 14:00

[映画.com ニュース]デンマークのサスペンス映画「THE GUILTY ギルティ」の試写会イベントが2月1日都内であり、メディアアーティストの真鍋大度氏が登壇。映画は深夜の緊急通報指令室を舞台に、主人公の警察官が電話からの音声だけで誘拐事件を解決するという展開が世界の映画祭で話題を呼んだ異色作。真鍋氏は「耳を澄ませて見る映画。細かく作りこまれている音響彫刻のような映画」と作品を評した。
「音にフォーカスしているということ、音を聞いて感じたり、イメージすることが人によって違うということが自分が最近興味を持って取り組んでいる作品のテーマに近く、見ておかなければと思った。かなり思いきった作品で満足しました」と本作に興味を持ったきっかけと感想を語る。
本作ならではの音響設計として気づいた点について「強調されていると思ったのは、主人公が話していないときの部屋の背景の機械音がかなり低音で鳴っていること。会話が始まるとカットされているので、それでシーンチェンジしたようになる」と指摘し、「音量だけでなく、イヤホンの先の世界のレンジが狭い。低音が出ている世界とそうでない世界がある。また、マイクで拾った音をいろんなバリエーションで作っているので、サウンドデザイン、音的にとても興味深い。そこに物語のヒントが隠されているので、聞き耳を立てて頭の中で妄想できるのが面白い」と、物語の“聞きどころ”を挙げた。そして「日本語で吹き替えで見ることができたら、また違った体験ができるかもしれない」と提案した。

また、全編PC画面で展開する映画「search サーチ」や、3月公開の盲目の映画制作者に迫るドキュメンタリー「ナイトクルージング」にも言及。「僕が面白いなと思う映画は、それぞれが違う解釈ができて、最後はひとつの解釈に向かって納得していくような作品。それを『THE GUILTY』では音だけでやっていて、音だけで複数の解釈をもたせている。音だけって自由度が高すぎて難しいことなのに、すごいチャレンジングな作品だと思った。2回見ましたが、もう1回見ても新たな発見があるのでは」とまとめた。
最近の真鍋氏自身のプロジェクトを問われると、視覚と聴覚の関係にフォーカスした研究を京都大学とともに行っているそうで「人は鳥の声を聞いたときに、鳥をイメージするようにまず聴覚で情報を仕入れますが、同時に視覚野でも反応している。その視覚野の情報を取り出して、音を聞いてどんなイメージを作るかということを、ブレインレコーディングという脳のスキャンの技術と機械学習の技術を組み合わせている」といい、新作について「1時間くらいの音楽を作って、その音楽には視覚的なことを誘発するような音をたくさん入れている。背景にストーリーはあるけれど、言葉は使っていないので抽象的。それを聞いたときの脳活動の情報を使って映像を生成するようなことをしている」と明かした。
「THE GUILTY ギルティ」は2月22日から全国公開。
(C)2018 NORDISK FILM PRODUCTION A/S
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