DV男性の表と裏の顔とは?「ジュリアン」監督による短編映像を入手
2019年1月26日 13:00
[映画.com ニュース]第74回ベネチア映画祭で最優秀監督賞に当たる銀獅子賞に輝いた映画「ジュリアン」(公開中)の特別映像を、映画.comが独占入手した。今作のもととなった短編映画「すべてを失う前に」の映像とともに、メガホンをとったグザビエ・ルグラン監督のインタビューがおさめられている。
夫の暴力(DV)が原因で離婚した夫婦の間で揺れ動く息子ジュリアンを通して、家族の関係を繊細に、そしてサスペンスフルにとらえた物語。米批評家サイト「Rotten Tomatoes」で94%(1月25日時点)を獲得し、フランスでは観客動員数40万人を記録した。
2012年、ルグラン監督は「ジュリアン」の前身となる短編「すべてを失う前に」を、ほぼ同じキャストとスタッフで製作し、DVを繰り返す夫から逃げる妻の1日を描いた。14年にフランス版アカデミー賞として知られる第39回セザール賞で最優秀短編映画に選ばれ、さらに第86回アカデミー賞の短編実写映画賞にノミネートされている。
お披露目された映像には、子どもを連れて足早に歩く母親の姿を、緊張感たっぷりに映し出している。ルグラン監督は長編の製作に至った経緯について「『すべてを失う前に』の脚本に着手した時から続編の製作を念頭に置いていました」と解説。「暴力が原因で離別する夫婦を3つの期間に分けて追う映画を作りたかった」「短編だと時間が足りないと気づきました」と振り返る。
2つの作品で夫役を務めた俳優のドゥニ・メノーシェは、役どころについて「彼は自己愛の強い変質者で、表向きはとても愛想がよくて愉快な男です。でも身内に対しては侮辱したりけなしたり暴力を振るったりする」と明かす。そして、「妻には選択肢がなかった。夫は罵倒するだけで自分の非を認めず疑問を投げかけても無視して答えない。そうして優位に立つことしか考えていません」と、複雑な夫婦の関係を語った。