テロ事件を描く72分ワンカットの“衝撃体験” 絶望した少女が「トゥルー・カラーズ」口ずさむ予告公開
2019年1月24日 09:00
[映画.com ニュース] 1人の男が77人を殺害するという前代未聞の連続テロ事件を、72分間のワンカットで描く衝撃作「ウトヤ島、7月22日」の本予告とメインビジュアルが公開された。映像では、鋭い銃声に逃げ惑う少年少女たちの姿が生々しくとらえられ、主人公の少女が歌うシンディ・ローパーの名曲「トゥルー・カラーズ」が切なく響いている。
2011年7月22日。北欧の福祉国家ノルウェーで、悪夢のような惨劇が発生した。午後3時17分に、首都オスロの政府庁舎爆破事件により8人が死亡。続く午後5時過ぎ、ウトヤ島の銃乱射事件で、ノルウェー労働党青年部のサマーキャンプに参加していた69人が殺害された。現地からの度重なる救助要請にも関わらず、警察の初動ミスに通信トラブルが重なり、当時32歳だった犯人アンネシュ・ベーリング・ブレイビクの冷酷な凶行は72分間にも及んだ。
「ヒトラーに屈しなかった国王」で知られるエリック・ポッペ監督がメガホンをとり、第68回ベルリン国際映画祭でエキュメニカル審査員賞スペシャルメンションに輝いた本作。ウトヤ島での事件発生から終息に要した時間と同じ72分間のワンカットで、突然の悲劇に見舞われた若者たちの心の葛藤と身体的な反応を描出し、想像を絶する緊迫感と臨場感で見る者に事件を体感させる映像となった。
本予告の冒頭では、少女カヤが母親との電話で「ここはウトヤ島よ。世界一安全だから何も心配いらない」と話す穏やかな場面を活写。しかし、一発の銃声が響きわたり事態は一変。「逃げて!」という叫び声を聞き夢中で走り、森に隠れる若者たちの鬼気迫る様子が映し出される。妹エミリアが見つからず落胆するカヤが、個性の大切さ、未来を夢見る気持ちが歌われた楽曲「トゥルー・カラーズ」を、絶望した表情で口ずさむ姿がおさめられている。
メインビジュアルには、寂しげだが、どこか強さを感じさせるカヤの眼差しとともに、テロで命を落とした犠牲者たちの姿も。「私の夢は、もう叶わない。」というコピーから、事件に対するやるせなさと怒りが伝わってくる。
「ウトヤ島、7月22日」は、3月8日から東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開。
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