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アヌシーW受賞「手をなくした少女」監督が美しい作画でグリム童話を語りなおした理由

2018年8月17日 17:00

セバスチャン・ローデンバック監督「大人のためのグリム童話 手をなくした少女」

セバスチャン・ローデンバック監督
(C)Les Films Sauvages - 2016
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[映画.com ニュース] グリム童話の短編「手なしむすめ」を長編アニメーション映画化した「大人のためのグリム童話 手をなくした少女」が、8月18日から公開する。ひとりですべての作画を担い、「クリプトキノグラフィー」と呼ぶ独特の映像表現手法でアニメ化。2016年のアヌシー国際アニメ映画祭で審査員賞と最優秀フランス作品賞をダブル受賞したセバスチャン・ローデンバック監督が、作品を語った。

--なぜ数あるグリム童話の中からこの物語を選んだのですか。

「この物語を元にしたオリヴィエ・ピィの演劇作品があり、それをアニメーションにしないかという提案がプロデューサーからありました。そこで初めて原作を読んだのですが、とても現代的で、自分自身に強いインスピレーションを与えてくれました。物語としても非常に普遍的だと感じました。人間個人が社会のなかでいかに存在しうるかということが描かれている。ヨーロッパでも決して有名な話ではないのですが、とにかく強い作品だと思いました」

「提案された企画自体は数年かけても資金が集まらず、頓挫しました。しかしこの童話自体を作品にしたいという気持ちはずっと残りました。どうすれば実現できるのか……例えばバンドデシネにすることも考えましたし、実写化も考えました。その過程において、『手をなくした少女』として完成に至るまで、自分自身と格闘していたようなところがあったと思います。なので、この作品の物語自体、自分自身の軌跡に似ている。少女の手が切られるところは元々の作品の企画が頓挫したことにあたり、しかし自分自身で種を撒き、その種が庭で育っていった……作品が育っていくその過程が、この映画の物語になっているのです」

--全体的に、軌跡という言葉がこの作品のテーマであるよう思います。

「この映画の物語は軌跡でもあり、同時に動きであります。というのも、娘はあちこちいろいろな場所を移動するわけです。水車小屋から出て、城に辿り着き、そして城を出る。さらにいえば、動きの物語でありつつ、存在についての物語でもある。ご指摘の技術は、その意味において非常に興味深いものになると思います。物語をそのまま表しているわけですから。その人物が存在するのかしないのか、その状況をそのままビジュアルで見せることができるのです」

「先ほども言ったように、アニメーションは肉体を描けません。そこにあるのは、線と色だけです。でもこの技術によって、少なくとも、存在することと存在しないことの間を描き出せる。ちょっと理論的すぎる話かもしれませんが、物語の主題と形式、そしてフォルムが、動きのうちでひとつに融合しています」

--アナイス・ドゥムースティエジェレミー・エルカイムら声優陣は映画界でも活躍する俳優ばかりですが、どのような基準でキャスティングしのでしょうか。

「主演女優のドゥムースティエは、映像が完成したあとに何人かの女優の声を試しにあててみて、一番ぴったりときたのが彼女でした。プロデューサーも妻で映画監督のキアラも同じ意見でした。フランスでもアニメーション用の吹き替え声優はいますが役柄が限られており、また、自分が好んで見るのも実写映画なので、自然とこのようなチョイスになりました」

--性的なシーンがいくつかあります。子どもも見るであろうアニメーションに敢えて官能性のある描写を入れた理由を教えてください。

「本作はフランスでは子供向けの作品として配給されています。少女は自慰もしますし、授乳もします。それらはすべて人間にとって自然な行為です。少女は城のなかで制約の多い王女でいるよりも、息子とともに排泄をするほうが幸せなはずです」

大人のためのグリム童話 手をなくした少女」は8月18日から東京・ユーロスペースで公開。

(映画.com速報)

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