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笑ってる場合じゃない!?「スターリンの葬送狂騒曲」監督がインタビューで警告

2018年7月17日 16:30

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メガホンをとったアーマンド・イアヌッチ (上)と劇中のワンシーン(下)
メガホンをとったアーマンド・イアヌッチ (上)と劇中のワンシーン(下)
(C)2017 MITICO - MAIN JOURNEY - GAUMONT - FRANCE 3 CINEMA - AFPI - PANACHE - PRODUCTIONS - LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE - DEATH OF STALIN THE FILM LTD

[映画.com ニュース] ソビエト連邦の最高指導者ヨシフ・スターリンの死を風刺した内容から、ロシア政府に上映禁止の措置を受けたイギリス製作のブラックコメディ「スターリンの葬送狂騒曲」の監督・脚本を手掛けたアーマンド・イアヌッチ監督が、1950年代のソ連をいかに再現したかについて語った。

「粛清」という恐怖で国を支配していたソ連の絶対的独裁者スターリンが急死した1953年を舞台に、スティーブ・ブシェーミジェフリー・タンバーら個性派俳優陣が演じるフルシチョフやマレンコフといった側近が、欲に駆られ、権力闘争を繰り広げるさまが描かれる。

「ロシアですべてを撮影するのは明らかに不可能」というプロデューサーの判断から、イギリスのロンドンで50年代のソ連が再現されることになった本作。イアヌッチ監督は、「私たちはロシアでクレムリンを見て回り、スターリンの銅像やモスクワの公園、巨大な公共の建物を訪ねることで、作品の見た目の感覚をつかんだ。そして、その外観をロンドンで再現した」と明かす。「撮影はほとんどロンドンで行い、屋内シーンもすべてイギリス国内で済ませた。ロンドン市内や近郊で、作品の舞台と本当によく似たロケーションを見つけることができたんだ」と語る光景は、コンサートホールとして使われたショーディッチタウンホールや、クレムリンの場面として使用されたコベントガーデンのフリーメイソンズホールやゴールドスミスホール、ウエストロンドンのハマースミスタウンホールを指している。

また、スターリンの住居としては、映画スタジオのパインウッドの側の森に田舎風の邸宅を建て、スターリンの趣味を反映させたという。「スターリンは富を得ることに執着しなかった。彼のオフィスにはベッドが1つあっただけ。しかし、彼は権力には執着したので、邸宅を作る際は、大きいが質実剛健で威圧的な茶色にした」。

芸達者な俳優たちがロシア語なまりの英語を駆使して繰り広げる「イス取りゲーム」に、見る者はつい引き込まれて笑わされてしまうが、監督はこれが「実話に基づいた物語」であることに注意を促す。

「作品の序盤では秘密警察長のベリヤ(サイモン・ラッセル・ビール)が悪役で、第一書記フルシチョフ(ブシェーミ)が面白おかしい男として登場する。そして物語の中で、2人が交わり、フルシチョフは冷酷な人間に変わっていく。一方、ベリヤは善玉になるわけではないが、リベラル派に転身し、より人間らしい一面も少しだけ見えてくる」と主要キャラクターの関係性を交えつつ、「登場人物は皆、残忍で凶悪なところがある。一部のキャラクターは特にそうだ。観客が共感を覚える人物や、毛嫌いしたくなる人物もいる。しかし常に覚えておいてほしいことは、たとえ登場人物に共感し応援したくなったとしても、外の世界では、彼らの行動が普通の人々にひどく壊滅的な影響をもたらしていたということだ」と念を押した。

スターリンの葬送狂騒曲」は8月3日から全国順次公開。

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