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VR映画は普通の映画と何が違うのか?「ブルーサーマルVR」上田慎一郎監督に聞く

2018年7月12日 14:00

VR映画に初挑戦した上田慎一郎監督「カメラを止めるな!」

VR映画に初挑戦した上田慎一郎監督
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[映画.com ニュース] 様々な分野で活用が進むVR(バーチャル・リアリティ)。映画界でも関心が高まるなか、カンヌ国際映画祭の併設見本市に日本のVR映画として初めて出展された「ブルーサーマルVR はじまりの空」の上映が全国で始まった。初の劇場用長編映画「カメラを止めるな!」が話題の上田慎一郎監督に、VRコンテンツ初挑戦となった本作について聞いた。

本作は、小沢かな氏の青春漫画「ブルーサーマル 青凪大学体育会航空部」をベースに、オリジナルストーリーで描く実写VR映画。視聴者=主人公は大学の新入生。都留たまき(小野花梨)とともにテニスサークルを体験中、航空部のグライダーを壊してしまい、航空部の倉持潤(水石亜飛夢)と空知大介(田中偉登)に言われるがまま、高額な修理費を帳消しにするため雑用係として働くことに。すると初フライトの機会が訪れる。

視聴者は、「Telepod」と呼ばれる水平方向に回転するポッド状の椅子に座り、「Gear VR」のゴーグルとヘッドホンを装着し、360度映像のなかで物語を体験する。視聴者自らが物語の主人公となるのが、VRの最大の特徴だろう。本作に携わることが決定してからVRを初体験したという上田監督も、「そこが一般的な映画やドラマとは違うところだと脚本を書く段階で思った」と語る。

視聴者が主人公だと認識できるように、「普通の映画やドラマではカメラ目線はしない。だけど、出演者にカメラへ目を配ってもらうことで、視聴者が『自分はここにいるんだ』と思えるようにしました」。一方で性別や年齢に関わらず楽しめるよう、目線の高さや呼びかけ方などの細部にも配慮した。「男性ならばたまきちゃんのことを可愛いなと思うかもしれないし、女性なら倉持が近づいてきたときにドキッとするかもしれない。誰が見ても楽しめるふうにつくっています」。


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全編は約12分。カットは5つ。基本的に長回しで撮影されており、登場人物が動き回ることで観客の視線を誘導する演出は演劇に近い。従来の映像作品の演出とは「全てが違うといえば全てが違いますし、一緒といえば一緒だなと思います」。「基本的に話している人を見るので、それは1カットだけどもカットを割っているような感覚なんですよね。請求書を出したら請求書に目が行く。それは請求書の寄りを撮っているようなものなんです」と、類似性を挙げる。

一方で、異なるのは「映画の場合は、後から編集でできるけど、VRの場合は現場でカット割りを確定しなければいけない」こと。そのため「どこに観客の目線をフォーカスさせたいかというのを、現場で動きながら決めていきました」と振り返る。それだけでなく、型にはまった“段取り”にはならないようにした。「現実だと次の瞬間に何が起こるかはわからない。だから、アドリブで脚本にないセリフも言ってもらっていますし、VRなんですけど2度と撮れないライブ感みたいなものを大切にしました」。これが功を奏し、VRならではの臨場感や没入感だけでなく、登場人物たちへの親近感や仲間同士のような一体感も生まれた。

クライマックスはグライダーでの飛行。エンジンもプロペラもない機体に乗り、風と翼だけで空を飛ぶ体験だ。飛行中の視野や音の再現はもちろんのこと、「空を飛ぶことに最後のカタルシスを持ってこなければいけなかった」ため、ストーリーテリングの上でも工夫を凝らした。グライダーの搭乗者を、原作のたまきから、視聴者へと変更したのだ。「急に飛ぶことになって、心の準備ができていないところで飛ぶという状態にしたかった」という狙いがあり、視聴者はあれよあれよという間に上空へと舞い上がっている。

本作は実写コンテンツのため、現実の空間で実際にカメラを回したわけだが、360度映像の中には監督はじめスタッフは映りこんでいない。「部室は270度を撮れるカメラを使っていて、残りの90度分は別に撮っているんです。それを編集でつなぎ合わせました。滑空場もそうです。その方法でないとスタッフがいるところがないですから。画質も360度カメラよりもいいそうです」。ちなみに、冒頭の空撮にはドローンと12台のGoPro、グライダーの飛行シーンは複数のGoProを使用したそうだ。

VR技術は、医療や教育、観光など多岐にわたる分野で活用され始めており、ゲームなどのエンタメコンテンツも多い。ならば「VR映画」とは何か? 「映画」の定義が困難なように「VR映画」の定義も難しいが、強いて言うならば「物語がある世界に入って、それを体験するもの」と道を示した上田監督。次にVR映画を監督することがあれば「ホラーがやりたい」とのこと。「ドラマの場合、どうしても傍観者のような感じがあると思うんですけど、ホラーの場合はいつ襲いかかってくるかわからないという感覚があるので、VRと相性がいいだろうなと思います」。VR映画の発展には、最適な物語世界の発掘が鍵になりそうだ。

「ブルーサーマルVR はじまりの空」は、複合カフェやホテル、カラオケ、ゲームセンターなどでVRを体験できる店舗常設型サービス「VR THEATER」で上映中。後日、VRポータルアプリ「VR CRUISE」で配信予定だ。

(映画.com速報)

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