香港の雨傘運動を記録「乱世備忘」監督が立教大学でティーチイン 中国人留学生からの質問に回答
2018年6月12日 15:00

[映画.com ニュース]2014年に香港で起こった「雨傘運動」の一部始終を、運動に参加した若者たちの視点から記録したドキュメンタリー「乱世備忘 僕らの雨傘運動」のチャン・ジーウン監督が来日、6月11日に立教大学で行われた試写会イベントで作品を語った。
14年に民主主義的な普通選挙の道を閉ざす「8.31決定」を受けて「真の普通選挙」を求める若者たちが街を占拠、警官隊から浴びせられる催涙弾に対して雨傘を手に抵抗したことから「雨傘運動」と呼ばれたデモを、当時27歳のチャン監督が前線でカメラを回し、その中で出会った学生らの79日間の姿を記録した作品。
同じく14年に台湾で起きた「ひまわり学生運動」の映像を見て、香港の学生運動も記録すべきだと、デモ参加者の一人として撮影を敢行したチャン監督は、「いろいろな感情が入り混じって、何かひとつの言葉であの運動を語るのは難しいです。社会を変えられると言う希望を持って参加し、いろんな人々と語り合う楽しさを経験し、最後には喪失感もありました。4年が経って、遠い過去のような気もしなくはないですが、参加したときの精神を持ち続けていたい」と振り返る。
「この映画を見て、改めて民主主義を考え直すことができた」という感想を述べた、中国・北京からの留学生に「実際の政治状況を知らずに流れで参加する人もいたのでは? 社会運動としてどう捉えるか?」と問われると、「こういう運動では、大きい目的を持った人もそうでない人もいる。民主主義を勝ち取りたい人、催涙弾を受けた学生を助けたいと思った人、楽しそうだからと参加する人、それぞれ理由が異なります。この映画の中にも、中卒の男性が『人類学って何だ?』と尋ねる場面があります。それを批判するのではなく、それぞれ違う立場の人が集まって考えを持つ、それが社会運動だという一面を見せたい」と回答した。
本作は、17年の山形国際ドキュメンタリー映画祭「アジア千波万波」部門で小川紳介賞を受賞し、日本での劇場公開が決定。香港、中国大陸での本格的な劇場公開は実現していないそうだが、「映画を上映することで、この運動を知らない人に知ってもらい、彼らの思いをつなぐことが出来た」と述懐し、最後に、「日本の皆さんにも、自らのことに置き換えてみて欲しい」と、日本の若者へのメッセージを送った。
「乱世備忘 僕らの雨傘運動」は7月14日からポレポレ東中野で公開。
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