妻夫木聡、映像化初企画の「イノセント・デイズ」で追求した“当たり前”という概念

2018年3月17日 16:00

「イノセント・デイズ」劇中カット
「イノセント・デイズ」劇中カット

[映画.com ニュース] 俳優・妻夫木聡が初めて自ら映像化を企画したドラマ「イノセント・デイズ」が、3月18日からWOWOWプライムで放送される。2014年に発表され、第68回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞した早見和真氏の同名小説(新潮文庫刊)を、「愚行録」の石川慶監督の演出で映像化。妻夫木が、幸せの概念を覆す力を持つ今作に込めた思いを語った。

佐々木慎一(妻夫木)は、幼なじみの田中幸乃が、元交際相手の住むアパートに火を放ち妻子を焼死させたとして死刑判決を受ける姿を法廷で見つめていた。幼少期の幸乃を知り、ある“負い目”を持つ慎一は、彼女が真犯人ではないと直感し、味方を探してさまざまな人々のもとを訪問する。だが、先々で幸乃の壮絶な過去を聞き、意外な真実にたどり着く。

今作は、妻夫木にとって「ぼくたちの家族」(2014)に続く早見氏原作の映像化作品。早見氏から発売直後に届けられた原作を読み、「早見さんの作品のなかで1番好きかも知れない」というほど気に入った。すぐに映像化に興味を持ち、自ら動き始めた。

「(自分は)答えがないものが好きなんでしょうね。何が幸せなのかとか、生きること、死ぬことって何なのかとか、人間が普段当たり前と捉えていることが、根底から覆されるようなものを描かれると、この先の生死に対しての価値観が揺らぐところがあって、すごくドキドキさせられる。僕自身の生き方さえも影響を与えてもらえているんじゃないかなと思うんです」

「早見さんに直接連絡して、(この作品を)預けてもらえないかとお話させてもらいました。最初からドラマでやりたいと。映画でやるのは短すぎて、もったいない気がしましたし、群像劇でもあるので、ひとりひとりの登場人物を(ドラマの方が)しっかり描けるんじゃないかなと。そこから企画がスタートしました」

石川監督に声を掛けたのも妻夫木だ。「愚行録」で初タッグを組んだ際には、その手腕を「天才」と手放しで絶賛していた。「『愚行録』の温度の低さがすごく好きだったんですよ。今回も、その温度の低さのなかでたまにふっと沸き上がる、心に触れる瞬間を作ってくれる石川さんの演出だったら、『イノセント・デイズ』は原作よりも脚本よりも、もっと面白くなるんじゃないかという可能性を感じました」

映像化するにあたり、「僕だけがいない街」などの後藤法子氏が脚本を担当。慎一を中心に、原作では描かれない登場人物たちの交流が生まれている。

「原作にない部分がすごく好きなんです。後藤さんが描いた部分は、ドラマならでは。小説ですごく良いセリフだな、良い場面だなと思ったものって、映像にすると意外と説明臭くなってしまったり、見ている人に『そういう答えなんだ』と思わせるレールを作ってしまったりする怖さがある。説明を省いたなかで、どれだけ情感を見せられるかがポイントだったと思う。そのバランスが絶妙に上手く取れたなというのが、脚本を読んだ第一印象でした」

WOWOWに企画を持ち込んだ際には、主演どころか「出演しなくてもいい」と思っていたそう。最終的に、妻夫木主演で慎一を主人公にした物語で展開することが決定してからも「慎一が目立てば目立つほど、あんまり良くないパターン。僕が主演という形ではあるんですけど、現場ではある意味脇役だと思っていました」と、あくまでも群像劇であることを全面に押し出した。

「慎一を描くことによって、慎一だけの話じゃなくなっている。本当の主役は幸乃。だけど、慎一を軸として描いているから軸がちゃんと2極あって、みんなが主演みたいな見え方になっているんです。後藤さんの力量、脚本力で、群像感が上手いバランスになっているんです」

企画から携わっている妻夫木だが、キャスティングにはノータッチ。それでも、幸乃役が竹内結子に決定した際のことを「(このドラマ)勝ったなって思ったくらい安心しました(笑)」と顔をほころばせて述壊する。

「いるだけで安心できる方ってなかなかいないと思うんです。竹内さんが幸乃役というだけで、制作スタッフはじめ、キャストのみんなもどれだけ安心できているか。竹内さんが決まるか決まらないかというときは、ずっとドキドキしていましたね」

キャラクター作りについては、石川監督の演出に沿いながらも“生っぽさ”を意識した。「根本に、生きることがすべてではなくて、死から感じ受けるものもあると思うし、見ている人たちが幸せって何なのかという、幸せの尺度に心揺さぶられて欲しいという思いがありました。お涙頂戴モノにはしたくない。監督自身が、もっと話し言葉に自分たちで変えてと言っていたので、セリフも勝手に変えているところもある。与えられた役というよりも、ちゃんとその人たちのなかで生きているように、生っぽい感じになれているんじゃないかな」

これまで「企画を出したことがなかった」という妻夫木が、“ドラマ”にこだわって映像化した今作。出来栄えを聞くと、「自信を持って、絶対に面白いドラマができていると思う。本当に楽しみにしていて欲しい」と胸を張った。

「ずっと客観的に捉えていたものが、現われる人物や事実によって主観的に変わっていく。段々と“自分の物語”になっていくドラマだと思うんです。だから見ている人たちも、答えを探すんじゃなくて、答えを求めるようになっていくんじゃないかな。このドラマが終わることが始まりになる気がするんです。見終わって、『いいドラマだったね』で終わらせたくない。そこから始まる“何か”を今頑張ってやろうとしています」

「連続ドラマW イノセント・デイズ」は、妻夫木と竹内、新井浩文芳根京子らが共演する。WOWOWプライムで3月18日から毎週日曜午後10時放送(全6話/第1話無料放送)。

(映画.com速報)

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