「ユダヤ人を救った動物園」監督、J・チャステインを絶賛「優れた女優すぎて言葉にできない」
2017年12月20日 15:00
[映画.com ニュース] 第2次世界大戦中のポーランド・ワルシャワで、ナチスドイツから迫害を受けていたユダヤ人を動物園の檻(おり)にかくまい、300人の命を救った夫婦の実話を映画化した「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」(公開中)のメガホンをとったニキ・カーロ監督が、作品にかけた思いを語った。
「モリーズ・ゲーム(原題)」で、第75回ゴールデングローブ賞にノミネートされたジェシカ・チャステインが、人も動物も分け隔てなく愛する園長夫人のアントニーナを演じた本作。ディズニーの実写版「ムーラン」が控えるカーロ監督は、「この映画で描きたかったのは、戦時下において女性がどれだけ勇気のある行いをしたのか、どういう経験をしたのかということ。戦争というのは、男性だけに起きたことではなくて、女性にも、子どもにも、それから動物にも起きたことだった」と明かしつつ、「だから脚本を書いているときも、映画化の計画を練っているときも、アントニーナが作り上げたサンクチュアリ(聖域)を描くということにフォーカスすることが目標だった。もちろん彼女の夫も戦地に行くわけだから緊迫感はあるし、戦争のシーンも描いたけれど、でも映画の大半は、この動物園の中に作られた彼女のサンクチュアリについてだったわ」と本作の特徴について語る。
さらに、奇跡や偉業だけを描くのではなく、その背景で起こっていた痛ましい事実からも目を背けず描こうとした。「私にとって1番大事だったことは、この映画では窮地に追い込まれながらも、300人の救われた人たちがいたことを祝しながら、何百万人という亡くなった方達に敬意を表することだった。ジャビンスキ一家の物語を通して、ホロコーストを描きながらも、癒し、希望、心、そして人間性を描きたかったの」。
“相棒”ともいえるチャステインについては、「ジェシカ(・チャステイン)はこの映画で初めてソフトな面や、“女性らしさ”を見せたと思います。彼女の演技は完璧だった。ジェシカは常に完璧に準備しているし、ものすごく勉強してきていて、技術がとても高いの。だけれど、彼女はセットに来ると、それを初めて経験しているかのように新鮮に演じてくれる。ジェシカを見ながら私もその瞬間を初めて体験し、観客も彼女を見ながらその瞬間を初めて見るというような新鮮な体験をもたらしてくれる。ジェシカの素晴らしさを言葉にすることはできない。あまりに優れた女優だと思うから。最高よ」とほめちぎった。