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坂本龍一、ドキュメンタリーでバケツをかぶっている理由は? 樋口泰人との対談で明かす

2017年12月12日 13:30

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音について対談した坂本龍一(右)と樋口泰人
音について対談した坂本龍一(右)と樋口泰人

[映画.com ニュース] 音楽家・坂本龍一のドキュメンタリー映画「Ryuichi Sakamoto:CODA」のトークイベントが12月12日、東京・角川シネマ有楽町であり、坂本と映画評論家の樋口泰人が対談した。

今年4月に行われた、坂本がセレクトしたアンドレイ・タルコフスキー監督の作品を上映するイベント以来の対談だそうで、樋口は「その時に雨の録音はどうやるのかという話をして、それが印象に残っていた。この映画の中にも雨のシーンがありましたが、バケツは何のためだったのでしょう?」と、坂本がバケツを頭にかぶり雨の音に聞き入る場面について問いかける。

坂本は「雨の音自体は僕らには聞こえないんです。僕らが雨音と呼ぶのは水滴が何かに当たる音。あの時は、裏庭で土や木に当たる音をバケツをかぶって聞いていたのです」と回答。さらに、雨の音の録音についての難しさについて、「傘をさしたいけれど、傘に水滴が当たる音になってしまったり、録音機材が雨に濡れると壊れる可能性があるので、とても難しい。プロの人はどうやっているのか僕も聞いてみたいほど。風も難しく、なかなか自然に聞くように録音することは難しい。タルコフスキーは水の音がテーマになっていて、『ノスタルジア』では水滴の音だけがシンフォニーのよう」と言及する。

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最新アルバム「async」で楽器ではない音を取り入れたり、美術館で「設置音楽」と題したインスタレーションを発表するなど、近年は作曲や鍵盤楽器演奏のみではない様々な表現活動を行っている坂本。最近、チェロの演奏を披露したそうで、「弦楽器はやったことがなくて、実はギターすら弾けない。楽器としてではなく、ノイズを出すものとして家では触っているのですが和音も抑えられない。アコースティックギターで湖のほとりで歌ったりなんて憧れるんですけどね(笑)」と明かしながらも、弾けない楽器や楽器以外の物から出る、意図しない音の楽しさを語る。「習っていると習ったことを弾いてしまう。ピアノも弾けてしまうと邪魔な時もあります」と、1970年代にブライアン・イーノらが参加していた、音楽の素人による楽団「ポーツマス・シンフォニア」などを例に挙げて説明した。

自然の中での音を採取するフィールドレコーディングについての話題では、北極圏のグリーンランドでの体験を紹介。「氷河の中に水が流れていて、そこから音がするので、割って釣り糸を立てるように水中マイクを落として。長い間フィールドレコーディングをしてきたけれど、一番印象的だった」と振り返る。「何万年前の氷河もあって、僕が歩いたのは比較的若い氷河でしたが、仮に500年前だったとすると、この氷河の中は関ヶ原やルネサンス時代の氷が解けた水になっている。観念的かもしれないけれど、500年前の地球の水の音を聞いていると思うと、今思い出してもグッとくる」と述懐。樋口は「まるで時間の音のようなものですね」と返し、「何千、何百年前の時間の音を聞けるので、ぜひそのシーンも注目して見ていただけたら」と音にフォーカスした作品の見どころを語った。

映画は、2012年にスティーブン・ノムラ・シブル監督が、脱原発のイベント「NO NUKES」に参加したのをきっかけに、密着取材を坂本にオファー。2012年から5年間にわたり取材を敢行し、14年7月の中咽頭がん罹患の公表、東日本大震災後の福島訪問、YMO時代や自身が手掛けた映画音楽のエピソードなどを交えながら、坂本の音楽的探求を映し出す。

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