片渕須直監督、アヌシー最優秀賞受賞作の日本公開に期待「どんどん応援しましょう」
2017年11月28日 23:40

[映画.com ニュース] 世界最大のアニメーション映画祭であるアヌシー国際アニメーション映画祭で、最優秀賞と観客賞に輝いたストップモーションアニメ「ぼくの名前はズッキーニ」を手がけたクロード・バラス監督が来日し11月28日、片渕須直監督とともに、東京・練馬の日本大学芸術学部で特別講義を行った。同校の講師を務める片渕監督は、2016年11月に公開された長編アニメ「この世界の片隅に」が、第90回アカデミー賞長編アニメーション部門の候補対象作に選出されたばかり。世界で高い評価を受けるアニメ監督のひとりとして、本作の魅力を力説しながら、「バラス監督の話を聞いて、いろんなものを受けとって欲しい」と学生たちに熱く呼びかけた。
バラス監督の長編デビュー作となる本作は、不慮の事故で母親を亡くした9歳の少年ズッキーニが、新たに暮らすことになった孤児院で自分の居場所を見つけようと奮闘する姿を描く。アヌシー国際アニメーション映画祭最優秀賞をはじめ、第89回アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされ、フランスのアカデミー賞といわれるセザール賞では最優秀長編アニメーション賞と最優秀脚色賞を受賞した。
バラス監督は、1973年1月19日にスイスに生まれ、リヨンのエコール・エミール・コールでイラストレーションとコンピューター・グラフィックス、ローザンヌ州立美術学校でコンピューター・グラフィックスを学んだ後、短編作品を発表した。片渕監督は、「子どもの心の奥深さを表現豊かに作った人形アニメーション作家の方です」とバラス監督を紹介。「日本では今、子どもに向けたもの、あるいは人形アニメーションというものが、そんなに大きな位置を占めていない。逆に言うならば、こういう表現方法を皆さんのなかに植えつけられるといいかな」と講義の意図を話した。
プロモーションのために来日したバラス監督は、「たくさんの方にお目にかかる機会を得てうれしく思います」とニッコリ。「私は子どもの頃、ハイジという作品を見て、自分の感情が大きく動くのを感じました。今度は自分が子どもたちに向けて、そのようなことを感じられる作品を作りたいという思いで作ったのが、この作品です」と本作に込めた思いを明かした。
講義では、バラス監督が本作の制作舞台裏を紹介。片渕監督が「この作品は、登場人物の演技が抑制的だと思います。大振りではなく、小さく動く。ああいった動かし方は、本作のために行ったのでしょうか」と問うと、バラス監督は「無意識的に、他の作品でもそのようなことが行われています。ですが、本作では意識的にそのように演出しました。セリフ、音楽、動きをどのように抑えれば、観客の理解を得て、彼らの感情に訴えることができるか考えました」と説明した。
さらに片渕監督は、「その反面、効果音がリアル。迫ってくるようでした」と指摘。バラス監督は「よりリアルなものにするために、どんどんいらいないものを削っていった。最小限度必要なものだけを残しました。セリフに関してもそうでした。最初はもっとたくさんありましたが、(観客が)理解するために必要なものだけを残しました」と解説した。
講義終了後、片渕監督は再び「こういうタイプの作品を、日本がちゃんと受け入れていけるということが大事だと思います」と学生たちに語りかける。「今まで見ていたアニメとは全然違うかもしれないけれど、いろんなタイプの作品が世の中にある方がよいわけです。これから皆さんが自分の作品を世の中に出していく時にも同じことがいえるわけです。だから、この作品をどんどん応援しましょう」と熱心に訴えた。「ぼくの名前はズッキーニ」は、18年2月10日から公開。
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