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松江哲明監督、猫写真家・沖昌之の“先を読む”撮影スタイルに感嘆!

2017年11月9日 21:15

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松江哲明監督と沖昌之氏
松江哲明監督と沖昌之氏

[映画.com ニュース] ヨーロッパとアジアの文化交流地点であるトルコの古都イスタンブールに暮らす野良ネコたちを映し出すドキュメンタリー映画「猫が教えてくれたこと」の試写会が11月9日、東京・飯田橋の神楽座で行われ、松江哲明監督、「ぶさにゃん」「必死すぎるネコ」といった猫を被写体にした作品集を手がけている写真家・沖昌之氏がトークショーに出席した。

ある人にとっては生きがいとして、またある人にとっては生涯の相棒として、イスタンブールの人々に癒しと希望を与えながら自由気ままに暮らす7匹のネコの姿を活写した本作。アメリカでは当初、公開は1館のみだったが、その評判から瞬く間に130館に拡大。外国語ドキュメンタリー映画としては全米史上第3位の大ヒットを記録している。

飼い猫ミーツを溺愛している松江監督は「猫がこんなに自由な映画はなかなかない」と激賞すると、「撮影機器の小型&デジタル化によって、被写体に気づかれないようになった」と自然体な姿が映し出されている理由を分析した。そして猫を題材にしたほかのドキュメンタリー映画と異なる点として「人間ドラマを重視していますよね。猫と関わる様々な人々が登場している。人間関係に傷ついてしまった方も出てきて、きちんとドラマが垣間見えるんですよ」と語っていた。

さらに「本作は街の映画でもあるんです」と近代化していくイスタンブールの風景も重要なポイントであることを指摘。「(土地が舗装されることによって)例えば、猫が外で用を足せなくなる状況が生まれます。人間の生活が便利になる一方で、失われてしまうものもある。劇中では何カ所か空撮シーンを使用しています。最初は猫の視点と対比させているのかと思ったんですが、実はそうではなくて、利便性を追求していくことで、何かが喪失してしまうということも描いている」と話していた。また愛猫ミーツとの生活を通じて「猫って全然違う視点で世界を見ていると思う。大きなものを感じながら生きてるんじゃないかな」と考えたようで、劇中に出てくる「神の使い」という言い回しに納得したようだ。

この日は「猫はシャッター音を聞くと、女優になる瞬間がある」と話した沖氏が、猫を撮影するための秘訣をレクチャーすることになったが、会場の都合により、用意されたのはぬいぐるみ。「無理難題ですね…」と苦笑しながらも「動かない時は、待っていることに気づかれてしまうので、あえて他の子を見に行きましょう」「毛づくろいの瞬間は、ある方向を見た瞬間に舌が出てくる。その瞬間はベストショットが撮れます」「高低差がある時は、必ず着地点を見る。ピントを合わせて飛び降りるまでじっと待ちます」とカメラを構えながら実演した。「常に先を読むんですね」と辛抱強く“待つ”スタイルに感心していた松江監督の言葉を受け、沖氏は「1秒先を想像してシャッターを切ります。自分のイメージしていた写真が撮れた時は、ニヤニヤしていますね(笑)」とほほを緩ませた。
猫が教えてくれたこと」は、11月18日から東京・シネスイッチ銀座ほかで全国順次公開。

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