フィリピン製ミュージカル「ある肖像画」女優陣が美声デュエット披露
2017年10月30日 19:45
[映画.com ニュース]フィリピン製ミュージカル映画「ある肖像画」が10月30日、東京・六本木で開催中の第30回東京国際映画祭「アジアの未来」部門で世界初上映され、主演女優のレイチェル・アレハンドロ、出演と製作総指揮を兼ねたセレステ・レガスピ=ギャラルド、メガホンをとったロイ・アルセニャス監督らがティーチインを行った。
舞台は太平洋戦争開戦前夜1941年のマニラ。カディダ(ジョアンナ・アムピル)とパウラ(アレハンドロ)の姉妹を軸に、その父で著名な画家ドン・ロレンツォの肖像画が引き起こすお家騒動と人間模様を描き出したタガログミュージカル。フィリピンの作家ニック・ジョアキンの短編小説をもとにしたミュージカル劇を映画化したもので、芸術への情熱と、現実との葛藤が歌い上げられる。
歌手・女優として25年以上の芸歴を誇るアレハンドロは、1990年代に上演された舞台版でもパウラ役を演じており、「この役を演じるのに当時は若すぎたのですが、今回の映画ではようやくふさわしい年齢になりました」と自己紹介。タガログミュージカルの日本ツアーに参加経験のあるレガスピ=ギャラルドは、「フィリピンでは音楽もミュージカルもとても人気があります」と紹介しつつ、「オリジナルの舞台では(姉の)カディダ役を演じたのですが、いまでは金持ちのドーニャ・ローレンにぴったりの年齢になってしまいました」とにこやかに続けた。
製作総指揮のガーリー・ロディスは、フィリピンの国民的アーティストだったホアキン氏から20年ほど前に舞台化の承諾を得る際の苦労話を披露。「今年はホアキン氏の生誕100周年にあたります。記念すべき年に、この映画が世界の皆さまの前で上映されることをうれしく思っています」と満面の笑みを浮かべた。一方、今朝東京に到着したばかりで飛び入り参加したプロデューサーのアレンバーグ・アンは、「リハーサルに1年、ポストプロダクションに2年。3年がかりで完成させました」と長年のプロジェクトの完成と世界初披露を喜んだ。
ニューヨークの演劇界でキャリアを築いてきたアルセニャス監督は、2011年にフィリピンに帰国し、「たまたま映画界に足を踏み入れました」と振り返る。本作は、映画3本目にして初めてのミュージカル映画となり、「才能あふれる素晴らしい役者たちに囲まれ、恵まれているなと思いました」。スペイン植民地時代の面影を残す建築や衣装、アメリカ的な音楽を融合させながら、フィリピン人の精神を描出したが、「フィリピンでもあの時代のことはあまり広く知られていない」と言及し、「それを若い世代に知ってもらいたいという思いでつくりました」と映画.comに語った。
ティーチインの最後に、舞台版でカディダとパウラの姉妹を演じたレガスピ=ギャラルドとアレハンドロが、劇中歌「Kay Sarap ng Buhay Noong Araw」(「あの頃人生は美しかった」の意)をデュエット。のびやかな歌声を響かせた。
第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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