ジャン=マルク・バール、ディストピアを描く近未来SFに主演「人々に問題意識を与える作品」
2017年10月30日 17:06

[映画.com ニュース] 第30回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品された映画「グレイン」が10月30日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、来日したセミフ・カプランオール監督、俳優のジャン=マルク・バール、プロデューサーのベティーナ・ブロケンパーが会見した。
ベルリン映画祭グランプリ受賞歴があり、現在のトルコを代表する監督のひとりであるカプランオール監督の7年ぶりの新作で、ディストピアを描く近未来SF。種子遺伝学者であるエロールは、移民の侵入を防ぐ磁気壁が囲む都市に暮らしている。その都市の農地が原因不明の遺伝子不全に見舞われ、エロールは同僚研究者アクマンの噂を耳にする。アクマンは遺伝子改良に関する重要な論文を書いていたが、失踪していた。エロールはアクマンを探す旅に出る。
トルコ、ドイツ、フランス、スウェーデン、カタール合作で、様々な国籍の俳優陣が出演。「グラン・ブルー」で知られるバールは、「とても予言的な映画で、撮影では美しく、スピリチュアルな経験をした。心身ともにブートキャンプに来ているような体験だった。様々な国の人たちと英語で映画を作ることは大変ですが、とても国際的な良い経験になったと撮影を振り返った。
カプランオール監督は「2011年にこの作品の構想ができ、撮影には1年が掛かりました。そして今、トルコには300万人近い難民が訪れ、(内戦などの)様々な影響が出ている。農業や水の問題もあり、私が想定したことが早いペースで現実になっていくのを見た思いです」と世界規模で起きている危機と自身の作品との類似点を示唆する。
最後にバールは「今の映画は娯楽性の高いものが多く、それはそれで良いことだが、カプランオール監督の映画は、人々に問題意識を与える作品」とコメント。現在の環境問題などを挙げ「今、我々の意識が変わらなくてはいけない時だ」と観客に訴えた。
第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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