「黒白はっきりつけて生きられない」石井光太氏、スラムの生活描く「ローサは密告された」の背景を解説
2017年7月4日 13:00

[映画.com ニュース] 第69回カンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞したフィリピンの鬼才ブリランテ・メンドーサ監督最新作「ローサは密告された」の試写会イベントが7月3日、都内であり、作家の石井光太氏が作品を語った。
マニラのスラム街で小さな雑貨店を家族で経営するローサ夫妻は、家計のために少量の麻薬を扱う。ある夜、密告から夫婦は逮捕され、麻薬売人の密告要求、高額の保釈金など、警察から脅迫まがいの要求をされる。
ルポ作家として世界各地の貧困地帯を取材してきた石井氏は、本作で描かれているようなフィリピンのスラム街にも20年ほど前から通っている。「映画だからこそ描ける人間の生き方を描いている」「スラム街はそもそも住む場所がない人たちが空き地を占拠するもの。フィリピンでは数万人単位で一つの街のようになっていて、映画にもリアリズムがあった」と感想を述べ、「スラムのようなところでは黒白はっきりつけて生きられない。生きるためには悪いこともしなくてはならないし、グレーの中で自分たちの人間性やプライドをぎりぎりのところでバランスを取っている」と物語の背景を解説する。
フィリピンの麻薬撲滅政策については「国が麻薬の取り締まりという、黒白はっきりしたものを突き付けた瞬間にグレーで成り立っていた人間の命や尊厳が崩壊してしまうが、麻薬取締も、悪い警官がいたりとすべてが白ではない」「公務員の給料が低いので、悪いことをしないと生活が成り立たない状況もある」と述べ、「日本と違うのは、麻薬取引の資金が戦争や反政府のゲリラに結びつくので、国は何がなんでも抑えなければならない」と、厳しい処罰が下される理由を説明した。
「ローサは密告された」は、7月29日からシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。
関連ニュース






「第2回Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際映画祭」最優秀長編作品賞はペルーの「ルーツ 岩と雲の先へ」 「島から島へ」が審査員賞、観客賞の2冠
2025年3月1日 22:00
映画.com注目特集をチェック

片思い世界
【“鑑賞確定”の超期待作】広瀬すず×杉咲花×清原果耶主演×「はな恋」製作陣…そして涙腺崩壊へ
提供:リトルモア

ミッキー17
【前代未聞のオール社畜レビュー】史上最凶のブラック仕事を描いた痛快作…社畜が観たらどうなった!?
提供:ワーナー・ブラザース映画

侍タイムスリッパー
【ついに見放題“最速”配信中!!!】観たかった人も、何度も観た人も今すぐ観て!【ネタバレ厳禁】
提供:JCOM株式会社

この村の住人は、人間を喰ってる――
【衝撃の問題作】異常なクオリティで世界が熱狂…“絶対的支持”の理由を徹底解説!
提供:ディズニー

観ないとぜっったい後悔する
【ラスト5分の破壊力】そして“観たことないシーン”のゲリラ豪雨に、感動を超えてもはや放心状態――
提供:東和ピクチャーズ

映画を安く観たい人、絶対にチェックして!
【映画2000円は高すぎる!!?】知らないと損な“1250円も安く観る裏ワザ”、ここに置いときます
提供:KDDI

厳選した名作“だけ”をあなたに。
【探す時間、ゼロ】家のテレビが「あなただけの24時間シアター」に!(提供:BS10 スターチャンネル)