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W・ベッカー監督、D・ブリュールと再タッグ「今でも父と子のような友人関係」

2017年4月28日 18:00

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ボルフガング・ベッカー監督(右)と イェスパー・クリステンセン
ボルフガング・ベッカー監督(右)と イェスパー・クリステンセン

[映画.com ニュース]ボルフガング・ベッカー監督とダニエル・ブリュールが12年ぶりに再タッグを組んだ「僕とカミンスキーの旅」が4月29日公開する。架空の芸術家カミンスキーと20世紀の美術史を描いた本作についてベッカー監督が語った。

映画は、ダニエル・ケールマンの小説「僕とカミンスキー」を原作に、ブリュールが高慢な無名の美術評論家ゼバスティアンに扮し、イェスパー・クリステンセン演じる伝説の天才画家・カミンスキーとの友情と珍道中を描く。

小説原作の映画化は「予想したより大変だった」という。「最初は簡単だろうと思っていたんだが。小説ということになっているが、ちっとも小説らしくないんだ。長い短編集なんだ。ドイツではノべラと呼ぶんだが。映画は3章からなっているが、原作は2幕しかないんだ。演劇のようで、ほとんどの事は一つの家(カミンスキーの家)で起こる。その後旅に出てロード・ムービーになるんだ」

原作にひかれたのは「例えばどこを読んでも歳をとる、ということに触れている」という点だ。「たぶん自分が年を取ってきたからかもしれないが。短い文章なのに、とっても機知にあふれた意味が込められていて。なのに著者のダニエル・キーマーは当時とても若かったんだ(笑)25歳くらいで……。こんなに若いひとが年を取ることの真意をついたような文章が何で書けるのかに驚かされたんだ」

架空の芸術家カミンスキーを映像で作り上げた。「映画の始まりは原作とは全く違うんだ。原作でカミンスキーの具体的な活動については触れていないから、すべてを創り出すのは楽しかった。見た人にカミンスキーは架空の人物だと思ったのに、実在したのか? と思わせたかったから。ドイツのプレミアの前に、アート雑誌から取材をうけた。実在したような形で質問に答えたらインビューアは不安になった様子だった(笑)。数か月前、実際にベルリンでスペースをかりてカミンスキー美術館で回顧展をやったんだ。映画で使った絵画と他にも何点もの作品を展示した。カミンスキー・ソサイエティーをでっちあげ英国人の友達がスピーチもした。ドイツ人の美術評論家が開会宣言もして。だからマスコミ関係者も実在した? と信じ始めたんだよ。でも2週間後にジョークでしたと発表したんだけど」

画像2(C)2015 X Filme Creative Pool GmbH / ED Productions Sprl / WDR / Arte / Potemkino / ARRI MEDIA

12年ぶりのダニエル・ブルーリュとの仕事をこう振り返る。「12年前の彼は凄く若かった。この前家を整理していたらあの時のカメラテストしたVHSテープが出てきたんだ。当時の彼は凄くシャイな青年で、初めてオーディションした時なんて、本当に不安げだった。すごく貴重だから保存しておこうと思った。当時はまるで父子のような関係だったんだ。その関係は12年ですっかり変わった。本作を作るときは同等の関係だった。彼は12年間の間に多くの映画を作ったから多く知識を得た。彼はスペイン、フランス、アメリカ、ドイツで映画を作り豊かな経験を積んだから。そのせいで映画つくりがずっと簡単になった。逆に複雑になった点もあったし。今でも僕とダニエルは父と子のような友人関係にあって、私生活でも付き合いがある。でも映画つくりに対する意見の違いもあり、それについては意見をたたかわせたよ」

ふたりのタッグ作「グッバイレーニン」の成功は何をもたらしたのだろうか。「あの映画が成功したとき、僕はもう若くなかった。だから僕の人生が大々的に変わることはなかった。若い時は、大きな成功で人格まで変わってしまうことがある。成功のうぬぼれたり、傲慢になってしまったり。それは僕には起こらなかったね。ダニエルも同様だよ。彼は若かったが、スターきどりになったことはなかった。地に足のついたナイスガイだよ。また僕の場合、アーティスティックな点でも考え方は変わらなかった。作りたい映画が変わることもなかったよ」

僕とカミンスキーの旅」は4月29日から、東京・YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で公開。

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