愛と憎しみは表裏一体…大人の男女の官能的な10年愛描く「モン・ロワ」マイウェン監督に聞く
2017年3月24日 15:00
[映画.com ニュース] 激しい恋愛の後に結ばれた男女の10年間の愛憎を描き、第68回カンヌ映画祭でエマニュエル・ベルコが女優賞を受賞したマイウェン監督作品「モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由」が3月25日公開する。来日したマイウェン監督に話を聞いた。
憧れていた経営者のジョルジオと運命的な出会いをした弁護士のトニーは激しい恋に落ち、意気投合した2人は電撃的に結婚。トニーは妊娠するが、気まぐれなジョルジオに振り回され、精神的に不安定になっていく。スキー事故で負傷し、入院したトニーは、10年間の2人の愛を振り返る。
性格や価値観が正反対の男女が恋に落ち、やがて歯車が狂っていく物語。主人公の傷の痛みと、精神的な痛みを重ね合わせた。愛に翻弄される女性の感情の揺らぎをベルコが見事に表現したが、女優として、映画のキャリアをスタートした自身が主人公を演じることは考えなかったのだろうか?
「考えていた時期もありました。でも、実際にこの映画を撮ろうと思ったときに、このストーリーの中のエマニュエル・ベルコを見たかったのです。私はこの作品の前の3本の作品には出演しているので、自分が出ないで監督に集中したらどのようになるのだろう、ということを経験したかったということもあります」
「主人公は精神的にダメージを受けている女性で、気持ちもすごく落ち込んでいる。そういう女性をもし自分が演じるということになったときに、やっぱりそこに集中しなければ演じ切れません。しかし、自分は監督をするので、一方ですべてをまとめ上げる指揮者のような立場を保持しなくてはいけませんから」
フランス映画界に素晴らしい女優は数多くいるが、映画監督としても活動するエマニュエル・ベルコを主演に選んだ理由を説明する。「この映画ではどこにでもいるような女性が経験するつらさを表現することが重要でした。有名女優が演じると、その女優が持っている匂いが自分の持っているストーリーの中に混ざってしまうのではと思ったのです。美しい女優はたくさんいますが、トニー役にはいわゆる女優が持つ華やかさや美しさはいらないと思ったんです。この映画で、ジョルジオが日頃連れ歩く、若くてかわいい、そういう外見の美しさとは正反対の、知的な部分を持っていながらも平凡な人、そういう女性でなければいけなかったのです」
フランスを代表する国際派俳優バンサン・カッセルが、女性から見たいわゆる“ダメ男”を好演した。「彼が演じた人物は、ひとつの型にはまらない人だと思うのです。多面的な要素を持っていて、善の部分と悪の部分、どちらかにカテゴライズすることができないのです。そういう男性を演じられる数少ない俳優だと思います」
子役として長年活躍し、リュック・ベッソン監督のかつての公私にわたるパートナーとしても知られる。名匠クロード・ルルーシュの作品に女優として出演したことが、大きな刺激になったそう。「彼の仕事ぶりを間近に見ることができ、監督たちは、それぞれの方法を持っていると思えたのです。であれば自分も、ひょっとしたら、いろんなことを意識しないで、自分の方法で自由に何かを作れるのではないかという思いがあって、まずは短編を作りました」
2011年に発表した長編第2作「パリ警視庁:未成年保護部隊」で、カンヌ映画祭審査員賞を受賞。今やフランスの実力派女性監督のひとりとして認識されている。「少なくとも、子供の頃の夢は映画監督ではありませんでした。プライベートの夢で、子供を生むことができましたが。ようやく今、職業的な目的を持てるような感じになってきました」と、今後の監督業にさらなる意欲を見せた。
「モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由」は3月25日からYEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。
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