「バーニング・オーシャン」特別映像に見る“リアル”の追求
2017年3月15日 08:00
[映画.com ニュース] 「ローン・サバイバー」や「パトリオット・デイ」(6月9日公開)のピーター・バーグ監督とマーク・ウォールバーグのコンビが、2010年に発生したメキシコ湾原油流出事故を描く「バーニング・オーシャン」の特別映像が、公開された。監督やキャスト、スタッフ陣のインタビューと本編映像、メイキング映像で構成されている。
メキシコ湾沖約80キロに位置する石油掘削施設ディープウォーター・ホライゾンが、海底油田から逆流してきた天然ガスが引火したために大爆発を引き起こし、施設はおろか海上が火の海に。主任電気技師マイク(ウォールバーグ)ほか作業員126人は、体中に傷を負いながら施設から脱出しようと奔走する。ウォールバーグのほかカート・ラッセル、ジョン・マルコビッチ、ケイト・ハドソン、ディラン・オブライエンらが脇を固める。臨場感にあふれる映像表現が高く評価され、第89回アカデミー賞では視覚効果賞と音響編集賞にノミネートされた。
本作では、リアリティを徹底して追求。総重量約3万3000トン(東京スカイツリーのタワー鉄骨総重量は約3万6000トン)の掘削リグを再現するべく、「映画史上最大級のセットじゃないかと思う」(ウォールバーグ)とキャスト陣が驚嘆するほどの巨大セットが建造された。ドリル作業員のケイレブ・ハロウェイ役を演じたオブライエンは「水のタンクに掘削リグ全体を建てた。すごいよ。最高にすごい」、現場責任者のジミー・ハレル役のラッセルは「実際の掘削リグにいた人に聞いたら、掘削フロアもリグもブリッジも実に正確だと驚いていた」とスケール感について証言する。
「トランセンデンス」などの美術を手がけたクリス・シーガーズは「メインデッキは16メートル上空にあり、ヘリパッドはそこからさらに4メートル上にある。水のタンクの容量は1万立方メートルだ。とにかくリアルにしようと心がけている。すべて実際の掘削リグから持ってきた」とこだわり抜いたセットについて解説。セカンドユニット監督のケビン・スコットは「泥水の噴出を再現するのに、1テイクごとに約19から23立方メートルの量の泥水が必要だった。これほどの泥水を生涯で見たことがないよ」と語る。
メイキング映像では、俳優たちが実際に泥水まみれになり、吹き飛ばされ、炎の中を走り抜ける過酷な撮影風景が収められている。「監督は僕に“少しの間火をつけるぞ”って感じでね。そんなに強い火ではないが“いいアイデアじゃないね”と(返した)」(ウォールバーグ)、「残骸や金属片がそこら中に飛び回っていた。それに何もかも熱くて、火がついている。フライパンのようだよ。とんでもない状況だった」(オブライエン)と出演者たちも体を張って撮影に臨んだことがうかがえる。ウォールバーグは「これは命を落とした11人、掘削リグにいた人、彼らの愛する人たちの物語だ。掘削リグ上が130度で、監督に機会あるごとに吹き飛ばされようと構わない。自分も向上できるし、正しく表現するために必要なことなら何でもしたい」と熱い思いをにじませている。
「バーニング・オーシャン」は、4月21日から全国公開。