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園子温監督、牛の愛くるしさに心奪われ「ハンバーガーが食べられない」

2017年3月4日 12:30

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高校時代の思い出も語った 園子温監督
高校時代の思い出も語った 園子温監督

[映画.com ニュース] 実在の猟奇殺人事件にヒントを得て人間の狂気を描いた園子温監督作「冷たい熱帯魚」が3月3日、開催中の「ええじゃないか とよはし映画祭」で上映された。園監督は、本作に出演した妻の神楽坂恵とともに、愛知・豊橋の開発ビルでのトークイベントに出席した。

地元・愛知での夜のイベントとあって、園監督は夕方のオープニングセレモニーとは打って変わり、すっかり無礼講モード。作品とは関係のない、豊橋の動物園「のんほいパーク」の魅力を熱弁したり、地元高校の制服に異議を唱えるなど、自由なトークを展開した。

そんな雰囲気も相まって、質問コーナーでは素朴な疑問が上がり、笑いが絶えなかった。「好きな動物」を聞かれた園監督は、「2年くらい前にアパートの前に猫が捨てられていた。一番嫌いなペルシャ猫っぽいやつ。女の子が好きそうな、毛の長い。嫌いだったけど、飼ったら好きになりました」と猫好きをアピール。さらに、「『希望の国』の撮影で牛舎にいたら牛がつぶらな目をしていて、それまではハンバーガーが大好きだったんですけど、あのつぶらな目を見てから、食べられない」と告白すると、場内は大爆笑に包まれた。

本作は、小さな熱帯魚店を営む社本(吹越満)が、娘の起こした万引き事件をきっかけに同業者の村田(でんでん)と知り合い、いつしか恐ろしい猟奇殺人事件に巻き込まれていく姿を凄惨なタッチでつづった。

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園監督は、本作には劣等生だった高校時代の「悔しさが全部詰まっている」と言い、「やっぱり生まれ故郷は憎しみと愛が両方あって、両親と似ている。親は大嫌いだけど、大好き。両方ある。これは、ものすごい憎しみの映画だけど、愛がないと作れない映画なんです」と熱弁をふるう。「自分の生まれ故郷には、とにかく辛さがいっぱいある。だって劣等生だったもん。豊橋にいた時は、女の子にもバカにされた。でも大切な思い出。高校時代にバカにされた思い出って宝になっていて、今だにそこからいろんなものが出てくる」と高校時代を過ごした豊橋への思いを語った。

そのうえで「作品に共通するテーマ」を聞かれると、「愛されたいって気持ちじゃないかな。怒りとか苦しみがテーマですって言っているけど、根底にあるのは愛されたいという気持ち。『冷たい熱帯魚』って映画を作っていた当時は、歩いていると交番に行って『頼むから捕まえてください』と言っていた頃。『今から人を殺すかもしれないから、早めに捕まえてください』って」と当時の精神状態を告白。自身を追い詰め、身を削るようにして作った作品だけに「二度と作りたくない(笑)」と吐露した。

「ええじゃないか とよはし映画祭」は、3月5日まで穂の国とよはし芸術劇場PLATをメイン会場に行われる。

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