アカデミー賞授賞式、トランプ米大統領に批判集中
2017年2月28日 11:00

[映画.com ニュース] 第89回アカデミー賞授賞式が2月26日(現地時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、司会を務めたジミー・キンメルや登壇者らが、ドナルド・トランプ米大統領や現政権を痛烈に批判した。
キンメルは、授賞式の冒頭から「この授賞式は225以上の国と地域で放送されています。もうアメリカが嫌いだという国ばかりになっちゃいましたけど」と現政権に苦言。「この国は今分断されています。人々は僕に『今こそ国民を団結させろ』と言いますが、僕にはできません。この会場に“勇敢な心の持ち主(ブレイブハート)”がひとりいますが、彼にだってできません」と、監督賞にノミネートされたメル・ギブソンを引き合いに出して会場の笑いを誘い、「でも何千万の視聴者の皆さんひとりひとりが、意見の異なる人に働きかけ、ポジティブで思慮深い対話をすれば、もしリベラル派、保守派としてではなく、アメリカ人として対話をすれば、本当にアメリカを偉大にできるのです」と呼びかけ、喝さいを浴びた。
続けて、「僕はトランプに感謝したいんです。昨年のアカデミー賞は人種差別的だという雰囲気でしたが、今年は彼のおかげでそうはならなかった」と皮肉り、「映画界にとっては素晴らしい年でした。黒人がNASAを救って(Hidden Figures)、白人がジャズを救った(ラ・ラ・ランド)。これこそが進歩ですよね」とエンタテインメントの持つ力を訴えた。
また、第74回ゴールデングローブ賞授賞式で暗にトランプ大統領を非難したメリル・ストリープを、「ハリウッドでもっとも過大評価されている女優のひとり」と酷評したトランプ大統領のツイッターの内容を引用し、今回で20回目のオスカーノミネーションを果たしたストリープを「世界でもっとも過大評価されている女優のひとりが参加しています」と紹介。「皆さん、メリルにまったく値しない大きな拍手を送りましょう」と称えると、会場からはスタンディングオベーションが沸き起こった。
さらに、キンメルは「ハリウッドは人を国籍で差別したりはしません。年齢と体重で差別するけどね」とジョークを交えて映画業界に従事する人の人種の多様性をアピール。「もう2時間もやっているけど、トランプはまったくツイートしていないね。心配になってきたよ」と携帯電話を取り出し、トランプに向けて「どうしてる?」「メリルがハーイって言ってるよ」と生ツイートしてみせた。
そのほか、長編アニメーション賞・短編アニメーション賞のプレゼンターとして登場したメキシコ人俳優ガエル・ガルシア・ベルナルは、「メキシコ人として、ラテンアメリカ人として、移民労働者として、人間として、私たちを分断する壁の建設に反対します」と宣言。外国語映画賞に輝いた「セールスマン」の監督でイラン出身のアスガー・ファルハディは授賞式への出席を拒否し、「アメリカに入国できなかった7カ国の人々を代表して感謝します」と入国禁止の大統領令を引き合いに出したコメントを寄せた。
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