クリント・イーストウッドの息子カイル「ホームレス」音楽で表現した「ニューヨークの光と闇」
2017年1月27日 21:30
[映画.com ニュース] クリント・イーストウッドの息子でジャズベーシストのカイル・イーストウッドが、音楽を担当したドキュメンタリー映画「ホームレス ニューヨークと寝た男」について語った。
米ニューヨーク・マンハッタンのビルの屋上で6年間も寝泊まりする異色のモデル兼フォトグラファー、マーク・レイの姿を追い、ライフスタイルの秘密に迫る本作。ニューヨーク・ドキュメンタリー映画祭2014で、優れたドキュメンタリー作品に与えられるメトロポリス・コンペティション審査員賞を受賞した。
「硫黄島からの手紙」「グラン・トリノ」など、父の作品を中心に映画音楽を担当してきたカイル。本作を手がけたトーマス・ビルテンゾーン監督とは友人関係にあったそうで「トーマスは僕のアルバムを聴いたり、コンサートに来てくれて、この映画を編集する時には僕の曲を仮に入れていたらしいんだ。その際に彼がどんな曲を入れていたのか知ることができたから、それを参考にしてスコアを書くことができた。舞台がニューヨークだからこそ、光と闇を表現しようと思ったんだ。ジャズがぴったり合いそうな映像だったしね」と振り返る。本作の仕事を引き受けた決め手は「何と言っても、ジャズのスコアが書けることだね。これまでいろいろサントラをやってきたけど、オリジナルのジャズのスコアが書ける機会なんて滅多にないんだ」と語った。
完成した作品については「すごく面白かったね」と大満足の様子。「だって、普通、ホームレスといえばボロボロの服を着てゴミをあさっていたり、ちょっと精神的に病んでいるイメージがあるけど、マーク(・レイ)はスーツでバシッとキメて暮らしている。しかも、あんな生活を何年も続けているなんてびっくりさせられたよ。冬のニューヨークなんて、とてもじゃないけど外で生活できないと思う」と驚きとともに語った。
自身は、仏パリを活動の拠点に置いているが「パリでは1、2度、公園のベンチで寝たことがある」という。その理由は「住む家がなかったわけじゃなく、奥さんとケンカして家を追い出されたんだ(笑)」。「あれはとてもじゃないけど人には勧められないね。とくに冬は絶対やめた方がいい」と語り、本作をきっかけに友人となったレイのタフさに舌を巻いていた。
「ホームレス ニューヨークと寝た男」は、1月28日から全国順次公開。