島ぷしゅーとは? 沖縄の鬼才・高嶺剛が新作「変魚路」を語る
2017年1月13日 17:00

[映画.com ニュース] 沖縄を舞台に数々の作品を発表してきた鬼才・高嶺剛監督の18年ぶりの新作「変魚路」が、1月14日から公開される。物語の舞台は「島ぷしゅー」と呼ばれる悲劇が起きた後のとある村。「島ぷしゅー」のせいで、村人たちは喪失感や自殺願望を抱えて暮らしているという設定だ。摩訶不思議な物語の中、沖縄民謡や神話などを織り込み、目くるめく映像世界が展開する。果たして島ぷしゅーとは? 高嶺監督が新作を語った。
死に損ないばかりが暮らすバタイ村に暮らすタルガニは「水中爆発映画機械所」を営み、親友で「整形映画所」の班長パパジョーともに、この世に絶望した自殺願望者たちの「生き直し」事業を営みながら静かに生きていた。そんなタルガニとパパジョーは、禁制の媚薬を盗んだ嫌疑をかけられ、村を出ることになる。主人公のタルガニ、パパジョーを平良進、北村三郎という沖縄を代表する2人の俳優が演じる。
「最初に『変魚路』というタイトルと、ウィフェーパタイジョー(ちょっと死ぬ場所という意味)の二つをキーワードにして内容を考えていくことにしました。ちなみにウィフェーパタイジョーは私の造語です。私は物語の筋が決まらないうちから、この映画のことをあちこちで吹聴していました。そのように言い続けていると、それが具体化していく場合が多いんです」と構想のきっかけを明かす。
「島ぷしゅー」という不思議な言葉が物語の鍵になっている。「『島ぷしゅー』が何なのか、映画のなかで具体的に触れてはいないので、実は…と、私が言うことはないです。過去・今・将来を問わず、沖縄の島、沖縄にいる人の、のっぴきならない出来事の効果音みたいなものです」と説明する。

「ぼくは入れ子構造にひかれます。映画のなかに、もうひとつ虚構のスクリーンや舞台を設けたくなる」と、映像と芝居をかけ合わせた「連鎖劇」の手法を本作に取り入れた。また、乳剤面が溶け、破損した8ミリフィルムをデジタル映像とのあいだに効果的に挿入して多面的な映像を作り上げている。
「破損フィルムの魅力を知ったのは、かつて見たアメリカの実験映画がヒントになっています。自分の8ミリ映画上映会でも、映写機の調子や、フィルムの穴が悪いと、フィルムがぷしゅーっと焼けることがあって、あれーっと思いながら、つい見入ってしまい、妙な美しさを感じたものです」
今作の中の破損8ミリフィルム映像は、1974年に発表した「オキナワン・ドリームショー」で使われなかった8ミリフィルムが溶けて破損した映像だと明かす。「40数年の間、沖縄那覇の熱気で蒸せる押入れのなかで、作者にも忘れられて、あのようなドロドロとしたフィルム破損が進行していたのかと思うと、妙な気がしました。あの映像の米兵は、撮影の時、これからベトナム戦争に行くのか、もしくは行った帰りなのか、私はいま覚えていないが、たしかにベトナムのことを話していましたね」
「変魚路」は、1月14日から、シアター・イメージフォーラムで公開。「オキナワン・ドリームショー」ほか過去作を紹介する特集上映も同時開催。
(C)「変魚路」製作委員会
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