精神科医・星野概念「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」の邦題の“意味”を考察
2017年1月12日 15:00

[映画.com ニュース] ジャン=マルク・バレ監督、ジェイク・ギレンホール主演作「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」のトークイベントが1月11日、東京・渋谷のユーロライブで行われ、精神科医・ミュージシャンの星野概念氏が専門家の視点から本作の魅力を解説した。
エリート銀行員ディヴィス(ギレンホール)は、突然の交通事故で妻と死別してしまう。悲しみにくれようにも日々に流されて無感情になった自分を発見したディヴィスは、身の回りのものをすべて破壊して再出発を図る。「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のナオミ・ワッツ、ベン・アフレック監督作「夜に生きる」(5月公開)のクリス・クーパーら、実力派が脇を固める。
映画のイベントに初登壇した星野氏は「試写会も本作で初参加」というが、「映画を見てほとんど泣くことがないのに泣いてしまった。ディヴィスと同じ体験をしたわけじゃないけれど、救われるさまを見て自分にもそういうところがあると思って涙が出た」と絶賛。予定時間をオーバーしても作品の魅力を語り続け「あと4時間くらい話せる」とすっかり魅了されていた。
「人の心って、自分でさえも認識しているのは一部。ずっと意識しているときついものを無意識の領域に追いやる」と語る星野氏は、本作の原題「Demolition(破壊)」と邦題の違いに着目。「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」という邦題は、劇中のあるシーンが基になっており「主人公が救われる、癒される、許される以前に焦点を当てたのが原題で、以降に焦点を当てたのが邦題。そこの妙が面白い。『Demolition』はディヴィスの心の表の部分を示している。でもその裏、無意識の領域には、奥さんが好きだった自分がいる。(亡き妻への愛情に)向き合ったら壊れるから、無意識にしまっていた」と、邦題がディヴィスの隠された本音をとらえたものであるとの解釈を示した。
ディヴィスは劇中、自販機の苦情の手紙を書いたことから、メーカーの苦情係カレン(ワッツ)と息子クリス(ジュダ・ルイス)と知り合い、交流するなかで、人間らしさを取り戻していく。星野氏は「人の話を聞くときの基本は、“傾聴”と“共感”」とした上で、「カレンはそれを行っている。だからディヴィスの心のよりどころになった」「(ディヴィスが)クリスの目線に合わせるのは、退行しているということ。人は、退行すると癒しになる。親子との会話で、自分が無意識にしまっているものが出てくるすき間がゆるくなったのでは」と考察していた。
「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」は、2月18日から全国公開。
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