サム・メンデス監督、1億円で獲得した「覗き魔モーテル」企画を断念
2016年12月19日 10:00
[映画.com ニュース] サム・メンデス監督(「007 スペクター」)が、自らの覗き趣味を満たすためにモーテルを購入した実在の男を題材にした「The Voyeur's Motel(原題)」の製作を断念した。
原作は、米ニューヨーカー誌2016年4月11日号に掲載された、“ニュー・ジャーナリズムの父”ことゲイ・タリーズのルポタージュ記事。映像化には複数のスタジオが興味を示し、争奪戦の末にドリームワークスとメンデス監督が推定100万ドル(約1億円)で権利を獲得した。しかし、ジェラルド・フーズを名乗るモーテル経営者とタリーズの関係を追った長編ドキュメンタリーが制作中であることが判明。メンデス監督は同作のフッテージを鑑賞し、自作の中止を決断したようだ。
米Deadlineによれば、マイルズ・カンドとジョシュ・コーリーが監督したドキュメンタリー映画「Gay Talese and the Voyeur(原題)」は2015年7月以前から制作されていたようだが、監督自身もスタジオもその存在を知らなかったという。メンデス監督は「いい気分ではないけれど、僕たちみんなが予想し得なかった、きわめて異例の事態だった」と説明するとともに、新人脚本家のクリスティ・ウィルソン=ケアンズが「すばらしい仕事をしただけに、ある意味で時間の無駄になってしまったことが悔やまれる」と心境を語った。「Gay Talese and the Voyeur」については、「どこが素晴らしかったかを言わずして説明することは難しいのだが、ドキュメンタリーの手法でしかできない、すばらしい部分がたくさんある」とコメントしている。
米コロラド州デンバー郊外のモーテルを経営していたジェラルド・フーズは、客室の天井に覗き穴を設け、30年にわたって宿泊客の行為(おもに性行為)を覗き見し、その詳細を記録していた。タリーズとは、1980年に覗き見行為を告白する手紙を送って以来、コンタクトをとり続けていたという。なお、当該モーテルはすでに売却されている。
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