ジャズ奏者・日野皓正が“オヤジ”マイルス・デイビスから授かった“教え”とは?
2016年11月14日 17:00
[映画.com ニュース] ジャズ・トランぺッターの日野皓正が11月13日、伝説のトランペット奏者チェット・ベイカーを描く「ブルーに生まれついて」、ベイカーとも親交のあったマイルス・デイビスを主人公にした「MILES AHEAD マイルス・デイヴィス 空白の5年間」というジャズ映画2本の上映会に来場。デイビスとの忘れられないエピソードを明かした。
革のジャケット&パンツで登場した日野は、同じジャズトランぺッターであるベイカー、デイビスについて、いきなり「敵ですね。商売敵(笑)」と語り、笑いを誘った。日野とデイビスの関係は「親子。落語の世界でいう師匠と弟子のようなもの」と明かすほどで、多くのことを教わったという。ジャズドラマーのアート・ブレイキーらも、日野のことを「My son(息子)」と呼び、かわいがっていたというが、日野は「ジャズの世界には“Each One Teach One”という言葉がある。ひとりひとりが魂を伝えていく」と説明する。
あるとき「(演奏で)上の唇が水膨れになるんだけど、どうしたらいいか?」とデイビスにアドバイスを求めたところ、「もっと下の唇を使え」という答えを受け取ったという。当時はその意味が分からなかったそうだが「いま、74歳なんですが、70歳くらいで思い出して、『そういえば……』と思ってやってみたらすごくいい! やはり、おれの“オヤジ”なんだなと思いました」と顔をほころばせた。
ベイカーに関しては直接の関わりはあまりなかったというが、アメリカで生活していたころ「よくチャイニーズレストランに行っていて、そこから彼が歩いているのをしょっちゅう見た」と明かす。「ブルーに生まれついて」でも描かれる、麻薬におぼれていくベイカーの人生を日野は「かわいそう」と言い表しながらも、「だからこそ、ああいう演奏ができた」。一方で「僕にはドラッグはいらない!」と言明。「禅の坊主が瞑想していると、庭の草木が息をしているのを感じるっていうけど、それってトンでるよね(笑)。東洋にはそういうのがあり、体もむしばまないし、それで十分!」と言い切った。
「彼らのように、トランペットが吹けなくなったことは?」との問いには「僕はブッ飛ばされたり、歯を全部折ったことはないからね(笑)。食うために吹かざるをえないし、これをやるためだけに生まれてきたんだからしょうがない(笑)」とひょうひょうと自身の芸術論を語っていた。
「ブルーに生まれついて」は11月26日、「MILES AHEAD マイルス・デイヴィス 空白の5年間」は12月23日から全国で公開。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
ザ・ルーム・ネクスト・ドア
【死を迎える時、どんな最期を選びますか?】“人生の終わり”と“生きる喜び”描く、珠玉の衝撃作
提供:ワーナー・ブラザース映画
キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド
【この最新作を観るべきか?】独自調査で判明、新「アベンジャーズ」と関係するかもしれない6の事件
提供:ディズニー
セプテンバー5
【“史上最悪”の事件を、全世界に生放送】こんな映像、観ていいのか…!? 不適切報道では…?衝撃実話
提供:東和ピクチャーズ
君の忘れ方
【結婚間近の恋人が、事故で死んだ】大切な人を失った悲しみと、どう向き合えばいいのか?
提供:ラビットハウス
海の沈黙
【命を燃やす“狂気めいた演技”に、言葉を失う】鬼気迫る、直視できない壮絶さに、我を忘れる
提供:JCOM株式会社
サンセット・サンライズ
【面白さハンパねえ!】菅田将暉×岸善幸監督×宮藤官九郎! 抱腹絶倒、空腹爆裂の激推し作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
激しく、心を揺さぶる超良作だった…!
【開始20分で“涙腺決壊”】脳がバグる映像美、極限の臨場感にド肝を抜かれた
提供:ディズニー