日米共同製作で世界中の“信仰心”に迫った監督、観客に「責任を持って感じて」
2016年11月1日 22:15

[映画.com ニュース] 米ニューヨークの公共放送局WNET傘下の番組制作会社WLIW LLCとWOWOWが共同制作したドキュメンタリー「SACRED いのちへの讃歌」が11月1日、開催中の第29回東京国際映画祭でワールドプレミア特別上映され、メガホンをとったトーマス・レノン監督が、「A」(1998)など宗教を題材にしたドキュメンタリー作品を手掛けたことがある森達也監督とともに、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われたティーチインに出席した。
映画は、世界中のあらゆる人々の日常に存在する“祈り”や“信仰”の経験を紡ぎあわせ、その大切さを探っていく。参加した40の制作チームが、世界中で取材対象の個人的なシーンや大規模な祭事などの撮影を行い、レノン監督がひとりの人生物語のようにまとめ上げた。
レノン監督は、今作を製作した理由を「過去15年間の新聞記事を眺めていますと、宗教がいろいろな問題を起こしていることがわかると思います。しかし、私の周りで話されることは社会的、政治的なことにとどまっていて、実際に宗教の経験について語っている人は非常に少ないのです。今回はシンプルに良い機会だと思いました」と明かす。
森は印象深い場面として、アフリカで女性がマンゴーを売りながら、「なぜ神様がいるなら貧しい人から殺していくんだ。神なんかいない」と言うシーンをあげ、「もし神がいるのであれば、神は時に本当に無慈悲で、時にすごく優しい。どちらかではなく色んな面がある。信仰とはそういう存在で、それを見る私たちの意識で全然変わってしまう。そのことをあのシーンで監督は構築されていると思います」と尊敬の眼差しを送った。
また、レノン監督は「宗教は怖くもなり得る。あれほどのエネルギーとパワーを持っているものなので、恐ろしい強風を作り上げることもできるのです」と話す。「イギリスのラビの言葉で『宗教的な信仰心は火のようなもの。あなたを温めることもできるけれども、焼き尽くすこともできる』というものがあります。これは非常にいい言葉だと思います」と“信仰心”の繊細さを語った。
さらに、観客からの「考えさせられた」という声に喜び、「観客の方々に考えて、感じて欲しかったのです。専門家が『こういう風に考えて下さい』とか、(映画に使われる)音楽によって『こう感じてください』ということではなくて、見ている方がそれぞれ責任を持って感じていただきたい。私たち(監督)は皆さんを映画に招待しますので、本当に考えたり感じたりするのはご自身でなさっていただきたいのです」と力を込めた。
第29回東京国際映画祭は、11月3日まで東京・六本木ヒルズほかで開催。
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