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岩井俊二監督「リップヴァンウィンクルの花嫁」目標は寺山修司「勉強になるところたくさんある」

2016年10月29日 22:50

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登壇した岩井俊二監督
登壇した岩井俊二監督

[映画.com ニュース] 岩井俊二監督が10月29日、第29回東京国際映画祭の「Japan Now」部門の特集で、「リップヴァンウィンクルの花嫁」の上映後にトークショーを行った。

日本映画の実写としては12年ぶりとなり、今年3月に公開された長編最新作。SNSで知り合った男性と結婚することになった派遣教員が、結婚式の代理出席を頼んだ「なんでも屋」にその後の人生を振り回されていく過程を、現実と虚構を交錯させながら描いていく。

タイトルのリップヴァンウィンクルは主演の黒木華のハンドルネームだが、岩井監督は「米の小説家ワシントン・アービングの短編の主人公で、松田優作さんが『野獣死すべし』で話していたこともある」ともっともらしい説明。その上で、「でも、僕の散歩コースにある店の名前でもあるんですよね」と冗談めかして煙に巻いた。

製作に当たって参考にしたのは、寺山修司監督の「書を捨てよ町へ出よう」(1971)だという。作風は異なるが、「当時の東京の最前線を生々しく技巧的に描いている。こういう映画にしたいと目標にしていた気がする」と述懐。そして、「作り手の姿勢として、小ぢんまりまとまらない。寺山さんがどこまで計算していたのかは分からないが、やりたいことをやり尽したのに散漫ではない。だから、まとめようとするところを耐え忍んで、いろんなイマジネーションをやりたい放題やった。勉強になるところがたくさんある」と解説した。

黒木に関しては、「か細く弱い声から強くたくましい声まで出せる素敵な女優」と絶賛。そして、SNSなど劇中で描かれる現代のネット社会については、「人でも物でも1クリックで何でもやってくる時代になった。画期的であるし、最も恐ろしい時代に突入したともいえる。ひと昔前の映画では起こりえないことが起きている」と自戒を込めて警鐘を鳴らしていた。

第29回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。

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