中絶テーマの「誕生のゆくえ」は現代の世相反映、アブドルワハブ監督「身近にもいた」
2016年10月27日 14:00

[映画.com ニュース] 第29回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出されたイラン映画「誕生のゆくえ」が10月27日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、モーセン・アブドルワハブ監督と主演女優のエルハム・コルダがティーチインを行った。
映画監督と舞台女優の夫妻が、2人目の子供を妊娠し経済的理由などから産むかどうかでしゅん巡するドラマ。アブドルワハブ監督は、「イランに限らず、妊娠は家族の中に大きな混乱をもたらす。イランでは宗教的、法律的にも中絶は禁じられているが、若い世代にはそれを考える夫婦も増えている。数は分からないが、調べたら私の身近にも経験者がいた」と、現代の世相を反映させたことを説明した。
いったんは中絶に同意した妻は、次第に迷いが生じていく。コルダは、「演じる上で2つのポイントがあった。ひとつは妊娠をすると、(産む決断は)普通は男が決めるが、今は女性も強くなって自ら決めるパワーを持っている。もうひとつは、中絶は生きている人を殺すことになるという思い。そういう心の準備をして臨みました」と明かした。
第29回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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