「三人姉妹」監督、インドネシア映画の巨匠の名作をリメイクした意図を明かす
2016年10月26日 17:30
[映画.com ニュース] 個性の異なる3姉妹の結婚話が快活に展開されるインドネシア映画「三人姉妹」が10月26日、第29回東京国際映画祭の「CROSSCUT ASIA #3 カラフル!インドネシア」でワールドプレミア上映され、監督と脚本とプロデューサーを務めたニア・ディナタ、出演のシャンティ・パレデス、タラ・バスロ、タティアナ・アクマン、共同プロデューサーのメリッサ・カリム氏が出席した。
インドネシア映画の父ウスマル・イスマイル監督が、1956年に発表したミュージカル映画「三人姉妹」をリメイク。物語の舞台を現代に置き換え、孫娘の婿探しに奔走する祖母の奮闘を描く。
ディナタ監督は、「オリジナルは私たちにとって大師匠、というかマエストロのウスマル・イスマイル監督の映画。これは家族と一緒に住んでいる結婚前の娘たちがどうやって家族とやりとりをするのか、そして良い旦那さんを見つけるために一生懸命になっていく。私はこの映画が大好きだった」とオリジナル版の魅力を語る。そのうえで、作品の舞台を現代に変えた意図を「1956年には、結婚前の娘さんは両親と家にいた。ですが今見てみると、この3人姉妹は何をしているんだろう、旦那さんを探す以外に他にやりたいことはなかったのかしらという疑問が沸いてきた。ですので、脚本にはそういう部分を織り込んだのが一番の違いだと思います。姉妹は自分の人生に対してどんな情熱を持っているのか。旦那さん探しにそれほど熱心じゃないように見えるんですけれども、それが大きな違いです」と説明した。
一方、3姉妹役の女優のキャスティング経緯を問われたカリム氏は「脚本段階で、長女と次女役の女優はアイデアがあったが、三女は新人が良いと思いソーシャルメディアを使ったオープンキャスティングをしました。歌って踊れて演技ができる人を求めていた。何百人のなかから10人にしぼり、ホテルに1週間滞在してもらい、やっと見つけたのがタティアナさんでした」と告白した。
多くの応募者のなかから三女・ベベ役を射止めたアクマンは、歌、踊り、演技の厳しい指導を受け撮影に臨んだという。「役との違いや共通点」を聞かれると「実生活では2人のきょうだいがいるが、女のきょうだいはいないので、今回の映画は全く新しい経験でした」と言い、「本当は(姉妹役の)3人のなかで1番私が大人しい。好奇心や自由な精神があるところはベベと似ているが、こういう役をやるのは大きな試練でした」と振り返る。また長女・グンディス役のパレデス、次女・エラ役のバスロも「グンディスと私の性格はまったく違います。私は全部顔にでてしまう。グンディスは内向的。私は好きなら好きと伝えてしまうタイプ(笑)」(パレデス)、「グンディスほどではないが、少し大人しいのが私の本当の性格です」(バスロ)と話していた。
第29回東京国際映画祭は、11月3日まで東京・六本木ヒルズほかで開催。
Amazonで関連商品を見る
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。