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浅野忠信、異端の役どころでさらなる新境地「僕にしかできない特殊な役」

2016年9月6日 20:10

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舞台挨拶に立った浅野忠信、深田晃司監督ら
舞台挨拶に立った浅野忠信、深田晃司監督ら

[映画.com ニュース] 今年5月のカンヌ映画祭「ある視点」部門で審査員賞に輝いた「淵に立つ」の完成披露試写会が9月6日、都内で行われ、主演の浅野忠信をはじめ筒井真理子古舘寛治太賀深田晃司監督が舞台挨拶に立った。

カンヌ初参加での快挙となった深田監督は、「参加できるだけで夢のような感じだったのに、まさか賞までいただけるとは。作品にとっては最高のスタートが切れた」と満面の笑み。現地入りする際に搭乗する飛行機が欠航になり、別の便で到着した際も荷物が届いていないというトラブルに見舞われた浅野も、「問題が起きたら必ずいいことがある。そのためのステップだと信じていた。本当にうれしかった」と満足げに振り返った。

浅野は旧知の男の家に転がり込み、家族に波風を立たせていく得体の知れない男という役どころ。これまでも殺し屋や猟奇殺人者といった異端者を数多く演じており、「これまでもそういう役をやるたびに、自分の中で何だったんだろうと考えてきたけれど、それを受け取ってさらに強いものを表現したい、僕にしかできない特殊な役だと思い、全力で取り組んだ。新しい要素を存分に発揮した」と力強く語った。

翻ろうされる家族の妻を演じた筒井は、撮影の間の約3週間で体重を13キロ落とす徹底した役づくりで「台本を頂いた時に震えたほどメンタリティーが変わっていく役なので、気持ちを詰め込んでも表現できないと思った。全部、生身でやっています」と強調。その夫役の古舘は、「僕はピンポイント俳優だけれど、今回は割とたくさん出ていたのでやりがいがあって楽しかった」とおどけた。

歌手のHARUHIも駆け付け、書き下ろしの主題歌「Lullaby」を初披露。深田監督は、「今日からが始まり。映画は作っただけでは完成しない。僕は客の想像力との綱引きで完結すると思って作っている。皆さんぞれぞれの想像力で拡散させてください」とアピールしていた。

淵に立つ」は、郊外で小さな工場を営む夫婦と一人娘の家庭に、夫と古い間柄の前科者がやって来たことで、家族の絆とは何かを問いかけていく痛切なホームドラマ。10月8日から全国で順次公開される。

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