佐藤浩市「誰にでも正義がある」、「64」で組織の難しさ実感

2016年5月22日 18:55


トークを行った佐藤浩市(右)と鳥越俊太郎
トークを行った佐藤浩市(右)と鳥越俊太郎

[映画.com ニュース]横山秀夫のベストセラー小説を2部作で映画化する「64 ロクヨン 前編」の大ヒット御礼舞台挨拶が、5月22日東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、主演の佐藤浩市と、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏が登壇した。

ストーリーで印象深かった点を鳥越氏から尋ねられた佐藤は、「組織で生きる上での大儀は何なんだろうと。誰にでも正義があるんです。組織の中でどう生き、どういう対外的な顔を持ち、内側に向ける顔を持ちながら生きるか。そういうところに興味を持った」と述べた。

それに対し鳥越氏は強く共感し、「ああ、やっぱりここが深かったんだなと思いました」と感慨深げ。そして現実には主人公のような広報官はあまり見たことがないとも加え、「組織の論理でバンバン仕事をしている人がほとんどなんです。だから今回の映画で描かれているような、組織の論理と個人のヒューマニズム、正義感の間で揺れ動いている広報官が1番興味深かった」と語った。

またこの日は特別に会場からの質問に応じる場も設けられた。昭和と平成の違いを聞かれた佐藤は、昭和を一括りでは言えないと前置きした上で「年間何十本も各社が(映画を)作っていて、それらが確実にヒットしていた。その時は立ち見もあったので、扉が閉まらないということもあった」と明かした。一方で現代については「我々は規制がある分、色々なことを逆の意味で広げて仕事ができる。今の時代、自分たちでどう受け取るか。(昭和の頃に)敵わないことはあるかもしれないけれど、僕らは僕らでやれることもある。僕は両方見てこれたので、非常によかったと思います」と長年のキャリアを感じさせるメッセージで会場を熱くした。

64 ロクヨン 前編」は、横山氏の同名小説を実写化したものの前編。元刑事の警察広報官・三上義信(佐藤)が広報室と記者クラブ、警務部と刑事部の板挟みに苦しみながら、昭和64年に起こった未解決事件「ロクヨン」を模倣した新たな事件に対峙する姿を描いた。怒涛の結末を描く「64 ロクヨン 後編」は、6月11日より全国公開。

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