「ファブリックの女王」監督、マリメッコ役員時代から映画製作までを語る
2016年5月13日 17:00
[映画.com ニュース] 北欧のファッションブランド「マリメッコ」の創業者アルミ・ラティアの波乱万丈の人生を描いた伝記ドラマ「ファブリックの女王」が、5月14日から公開される。イングマール・ベルイマンの名作「ファニーとアレクサンデル」のプロデューサーで、初期マリメッコの役員でもあったヨールン・ドンネル監督に話を聞いた。
戦後まもないフィンランドで、夫が買収した業務用オイルプリントの会社で働き始めたアルミは、綿布にプリントすることを思いつき、1951年に新たな会社「マリメッコ」を立ちあげる。斬新なデザインのファブリックや、女性をレースやコルセットなしで着用するドレスを紹介したショーが大成功し、事業は軌道に乗り始めるが、公私にわたり様々な困難がアルミを待ち受ける。
1966年にアルミと出会い、1年後にマリメッコの役員に招かれた。アルミとの関係をこう振り返る。「当時のマリメッコはすごく成功はしていたが、かなり経済的に状況が悪い時期もあって、その建て直しを手伝ったんだ。それには長い時間がかかったが、上手くいった。彼女とは友人で、時には批判をしながらも会社建て直しの手助けをして、取引先を探しに東京に行ったこともあった。私が72年にスウェーデンに移住したので、その時からアルミとは少し疎遠になり、アルミは亡くなった79年頃にはあまり連絡を取っていなかったんだ。だが、アルミとの個人的な関係は、概ねとても良好だったと思うよ」
「シンプルに、彼女が今も生き続けていることを伝えたかった」との思いから、「アルミは生きている!」(原題)と命名し、映画はアルミを演じる主演女優ミンナ・ハープキュラの劇中劇を交えた巧みな構成で描かれる。「映画でどういう風に彼女のキャラクターを表現するかを考えた時に、伝記的なお決まりの形ではできないと長い間考えていた。この劇中劇のスタイルを思いつき、これで行けると確信した。映画化は自分のアイディアだったが、自分はもう歳なので、若い脚本家が2年くらい時間をかけて脚本を書き、製作会社と一緒に作ったんだ」
ファッションショーのシーンや横縞のファブリック「Tasaraita」をミュージカルのようなダンスで表現しているのが印象的だ。「音楽やダンスを使ったらどうかというのはプロデューサーからのアイディアで、それに賛成した。Tasaraitaのシーンは、アルミがこのプロジェクトが好きじゃなかったという事実に基づいているんだ」と明かしてくれた。
「ファブリックの女王」は、5月14日から東京・ヒューマントラストシネマ有楽町・渋谷ほか全国で順次公開。