伊勢谷友介、10年前の主演作「雪に願うこと」で得た“財産”とは?
2016年3月19日 22:30

[映画.com ニュース] 伊勢谷友介主演、根岸吉太郎監督作の「雪に願うこと」(2006)が3月19日、東京・京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターで開催中の特集企画「自選シリーズ 現代日本の映画監督4 根岸吉太郎」で上映された。2人は上映後のトークショーに出席し、「大味な芝居ではなく、心が役に移ってくるようなお芝居をさせていただいたのは、ほとんど初めてだった」と述懐する伊勢谷が、今作で得た“財産”を語った。
会社を倒産させてしまった矢崎学(伊勢谷)が、故郷の北海道・帯広に戻り“ばんえい競馬”の厩舎で働くうち、新しい一歩に踏み出していく姿を描いた。根岸監督は、学の兄・矢崎威夫役の佐藤浩市に言及し、「佐藤浩市という、とんでもない兄貴が指導していく立場だった。役者としての先輩であり、兄貴である浩市との関係が、伊勢谷さんを成長させる大きな原動力になったと思う」と明かす。続けて「映画の役と、伊勢谷さん本人が重なって見える。チャラいところから、本物の役者になっていった」とねぎらった。
役とともに俳優としても成長を重ねた伊勢谷は、「多くの経験が、この後の作品に生きた」と胸を張る。クライマックス付近、佐藤に殴られる場面では「シーンでやらなくてはいけないことと、自分の感情が合った。役者の目線でフィットしたんです」といい、「自分も不思議な感覚になって、セットを出ようとした時に浩市さんの右手が伸びてきた。ガシっと握手をしていただいて、『良かった』と。芝居をするなかで、心と体がマッチすることを感じさせてもらえたのは、すごい財産になりました」と深い感謝の念をにじませた。
さらに伊勢谷は、撮影以外のエピソードも披露。「よくジンギスカンをご一緒させていただきました」と告白し、「若者連中は、浩市さんとごはんに行くたびにお芝居の話をしていただいた。ちょうど吸収期だったので、らんらんとした目でお話を聞きましたね。浩市さんにとって、僕らはかわいかったと思いますよ」と感慨深げに語る。そして、「浩市さん、クランクアップの時に泣いていました。『ほとんど僕は泣かないんだけれども』って。その後に皆で浩市さんの部屋に押しかけて、ご飯を食べた。今考えれば、そんなこと僕もされたことがなければ、それ以来したことがない。暑苦しい、面倒くさいチームだったと思いますが(笑)、ああやって映画を作るんだという感情にさせてくれたのは、監督の現場は幸せな経験でした」と振り返っていた。
同企画は“男と女”のありようを見つめ続け、モントリオール映画祭の最優秀監督賞に輝いた「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」など傑作を世に送り出した根岸監督を特集。3月20日には「近代能楽集」の2編が劇場初公開され、24日に「サイドカーに犬」、26日に「狂った果実(1981)」「キャバレー日記」が同所で上映される。
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