過剰な糖分摂取の危険性に迫るドキュメンタリー「あまくない砂糖の話」監督に聞く
2016年3月18日 13:00
[映画.com ニュース]砂糖の過剰摂取の危険性に迫った、オーストラリアのドキュメンタリー映画「あまくない砂糖の話」が3月19日に公開される。人間が1日平均スプーン40杯の砂糖を摂取していることを知った俳優のデイモン・ガモーが、スーパーなどで販売される多くの加工食品に含まれる砂糖の量に疑問を持ち、自らが被験者となった人体実験を開始し、心身の変化を記録した。このほど来日したガモーが、映画化までの道のりと自身の経験を振り返った。
WHOでは、砂糖の摂取量の目安として1日あたりティースプーン6杯分を推奨しているが、オーストラリアでは1日30~40杯、日本では1日20~30杯分の砂糖を摂取していると言われている。オーストラリアの1人あたりの砂糖摂取量は、日本のおよそ3倍だ。「オーストラリアの人々は、どこに砂糖が含まれているのかを知らないのだと思います。チョコレートなどのお菓子ではないシリアルや低脂肪ヨーグルト、トマトスープなどにも非常にたくさんの砂糖が含まれていることを知らないのです」
ドキュメンタリー製作にあたり、マクドナルドのメニューを1日3食食べるという内容で話題を集めたモーガン・スパーロック監督の「スーパーサイズ・ミー」などを参考にした。「私の作品では、いわゆる“ヘルシー”な食べ物と宣伝されている食品を60日間食べてどのような影響があるか、そして“ヘルシー食品”に含まれている砂糖は問題ではないのか?という実験を行いました」
映画ではガモーの体を張った実験結果から、砂糖の危険性や隠された砂糖の真実を明らかにし、オーストラリアで大ヒット。観客の反応はどのようなものだったのだろうか。「ここ30年ほど、低脂肪が健康的という感覚を強く持っている人がほとんどです。そして、脂肪に気をつけているにも関わらず病気がどんどん増えてきているという中で、低脂肪である分、糖質が高くなっている食品も多いということがわかり、観客はショックだったようです。ラベルを見て栄養素をきちんと確認するということを学べたというのが一番大きな反応だったと思います」
本作のヒットが、食品業界へ問題を投げかけ、病院では糖質の高い飲料を禁止する条例ができ、小中学校では教材として取り入れられるようになった。「子供たちの反応をみることが、本作で一番やりがいを感じる瞬間です。製作の際も、子どもたちに向けての表現は特に意識した部分でした。アニメやカラーを取り入れたりミュージックビデオ風にしてみたり。子供たちから食についてもっと学びたいという意欲のある質問が多かったので、若い世代がより健康に生活できるチャンスをつくることができたと思っています」
現在、ガモー監督は、野菜、良質な脂質とたんぱく質を中心に摂取する食生活を送っている。「砂糖を一切摂らないということはないですね。時々、チョコレートなどの砂糖が含まれているものも食べますが、極力は野菜やフルーツ、魚など自然の食べ物を摂るようにしています。現代では、そのバランスが逆になっていると思うので、それが問題だと思います」
本作にはオーストラリア出身のハリウッドスター、ヒュー・ジャックマンが出演している。「彼が出演してくれたことはラッキーでした。彼自身もともと健康に気を遣っていたので、話をもちかけるとすぐに賛同してくれました。若い世代に伝えたいという我々のメッセージにも共感し、参加してくれることになりました。彼自身も映画を見てすごく気に入ってくれて、周囲の友人に薦めたり、子供たちにも見せたと言ってくれました」
そして最後に、「子供たち、今後の未来の世代に対して強く伝えたいのですが、身体的なことだけではなく精神的な意味でもどれだけ食文化が大切かということを知って欲しいです。食というのは、いわば車のガソリンと一緒で、違うガソリンを違う車に入れても走らない。そういう意味で、正しいものをきちんと選択してほしいと思います」と日本の観客にメッセージを送った。
「あまくない砂糖の話」は、3月19日からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
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