日本文化に傾倒「マジカル・ガール」監督、好きなキャラは蟲師、綾波レイ、鬼太郎…
2016年3月11日 19:30
[映画.com ニュース] 2014年サン・セバスチャン国際映画祭グランプリと監督賞をダブル受賞し、ペドロ・アルモドバルや園子温監督が絶賛するスペイン映画「マジカル・ガール」が、3月12日に公開される。漫画家・イラストレーターとしてのキャリアを持ち、本作で長編デビューを飾ったカルロス・ベルムト監督は、大の日本びいき。このほど、通算10回目となる来日を果たし、キャリアや作品について語った。
白血病で余命わずかな少女アリシアは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン。失業中の父ルイスは、アリシアの願いをかなえるため、「魔法少女ユキコ」の高額なコスチュームを手に入れることを決意する。この行動が、心に闇を抱える女性バルバラと、訳ありの元教師ダミアンを巻き込み、人々の運命が悲劇的な結末へ向かう。
漫画家から映画監督へ転身という異色のキャリアの持ち主だ。「私が一番好きなことは物語を語ること。コミックを描くのも好きなのですが、背景や色付けは面倒くさいと思うことがありました。映像であれば、自分で描かなくてもカメラに収められるので、常に映画には興味がありました。けれど、それまで1人でこつこつとコミックを描いていたので、人とチームを組んで製作するという環境に腰が引けていたのです。ビデオカメラを買って、友人同士で楽しみのために短編を撮るようになってから本格的に映画製作を始めました」
ダークな雰囲気で進行する本編の随所に、日本のアニメを愛する少女、長山洋子の楽曲、江戸川乱歩の「黒蜥蜴」など、日本カルチャーの要素がちりばめられている。ベルムト監督を魅了した日本文化との出合いのきっかけをこう語る。「小さい時から、アニメが好きでした。その時は日本というものを意識しませんでしたが、その後に大人向けの漫画を読み出して、ただただ面白いと思ったのです。その後さまざまな日本の文化を知り、傾倒していったのです」
自身の漫画作品もダークなタッチの物語が多く、復讐や親子の関係というテーマに興味を持っている。最後に発表したコミックは「ドラゴンボール」からインスピレーションを受けたものだといい、「孫悟空のような人物が敵を倒すために、地球上の人間のエネルギーを集めて魔法を作る話なんです。エネルギーを与えたくないサラリーマンが主人公なのですが、そのサラリーマンは、妻には裏切られ、娘からは憎まれ、自殺を考えている。自殺をするところなのに、どうしてエネルギーをあげなければならないんだと。エネルギーがほしいのであれば、僕の願いをかなえてくれ、と物語が進むのです。日本の皆さんにぜひ私の漫画も見てもらいたいですね」とオリジナリティあふれる物語の概要を、熱を込めて説明した。
映画では、美しい少女と影のある美女が物語の鍵を握っている。「2人はスペインの典型的な美女ではなく、どちらかというと中性的な雰囲気がするので好きなのです。日本の漫画の女の子のキャラは、子どもっぽいキャラクターが多いですね。私はそういうキャラクターには興味がなく、硬派なキャラが好きです。蟲師、綾波レイ、鬼太郎、笑うセールスマンなどが気に入っています」と特殊な力を持つような神秘的なキャラクターを好むそうだ。
長編劇場デビュー作で国際的に注目されることになったが「自分が映画を作って、日本で紹介するということが信じられません。いつか自分が本当の映画監督ではなく、頂いた賞を取り上げられるのではないかという気がまだしています。まだ自分自身も、映画監督として賞を獲った人間ということに慣れてしまいたくないと思っています」とあくまで謙虚。現在、夏にクランクイン予定のアルモドバルプロデュースによる次回作に取り組んでいると明かした。
「マジカル・ガール」は3月12日から、全国順次公開。
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