吉田大八、三島由紀夫「美しい星」を大胆脚色で映画化!リリー×亀梨×橋本愛が宇宙人に
2016年3月1日 06:00
[映画.com ニュース] 三島由紀夫が1962年に発表した異色のSF小説「美しい星」を、吉田大八監督が現代を舞台に移して大胆に脚色し、映画化することが決まった。主演をリリー・フランキーが務め、亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子が共演する。リリーと橋本は「シェル・コレクター」(公開中)に続く共演となり、今作では親子に扮する。
原作「美しい星」は、核戦争勃発の恐怖におびえる冷戦下の国際情勢を背景に、突然「自分たちは地球人ではない、宇宙人だ」と目覚めた家族が、「我々の手で人類を救わねば!」と使命に燃え、奮闘する姿を風刺たっぷりに描いた寓話小説。学生時代に読んで以来、映画化を切望してきた吉田監督は、「ミシマが2010年代に生きていたらどんな風にこの星を描くだろう」ということを念頭に置き、甲斐聖太郎とともに脚本を執筆した。
クランクインを3月中旬に控える吉田監督は、「原作の精神を尊重しつつ、人類生き残りに有り金まるごと賭けて悔いなし、そんな宇宙レベルのエンタテインメントを目指します」と意欲満々。キャスティングに関しても「物語の中心、大杉家のメンバーとして最高の4人が集まってくれたので、これからいったいどんな反応が起きて何が生まれるのか、想像するだけで恐怖のあまりワクワクします。公開までそのワクワクを時々思い出していただければ幸いです。あと、空で待ってるスターマンにちょっとだけ捧げます」と語り、全幅の信頼を寄せている様子がうかがえる。
主要キャスト4人の設定も、現代風にアレンジ。リリーが演じる主人公・大杉重一郎は、「当たらない」ことで有名なテレビのお天気キャスターになり、情熱と使命感に燃える火星人へと覚醒する。長男・一雄(亀梨)は暗い野心をたぎらせるフリーターで知性をつかさどる水星人、長女・暁子(橋本)は自分の美しさが最大のコンプレックスという女子大生で美を象徴する金星人に目覚めていく。母・伊余子(中嶋)だけがなぜか覚醒せず地球人のままで、退屈と倦怠を持て余して怪しい“水”ビジネスにはまりこんでいく主婦に扮する。
リリーをはじめとするキャスト陣は、吉田監督とのタッグに興奮を隠そうともしない。吉田作品を全て見ていたというリリーは、「嬉しさと驚きと、爽やかな印象のある気象予報士役が自分で良いのかな? と不安もあります。とはいえ、『予報が外れてもアリなキャラクター』なら何とかなるかもしれません。そして何より、吉田監督がどのように映画を撮られるのか、その現場を見ることができるのが最大の楽しみです」と撮影を心待ちにしている。
過去の吉田監督作を見て「人と人との距離感の描き方がとても印象的だと思っていた」という亀梨は、「30歳になったこのタイミングで、このテーマで、しかも吉田監督とのお仕事というのは、自分はとてもついていると感じます。参加させてもらえることがとても楽しみです」と明かす。「桐島、部活やめるってよ」で吉田組を経験している橋本は、「今回は初めましての気持ちで臨みたいと思います」ときっぱり。さらに「頭の良い脚本と大胆で鋭利なテーマにくらっときていますが、美の昇華を一心に目指したいと思います」とコメントを寄せた。
「美しい星」は、17年5月に全国で公開。
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