本木雅弘、8キロ減量で主人公と同化 西川美和監督「永い言い訳」がクランクアップ
2016年1月8日 12:00
撮影は、季節をまたぎ断続的に行われた。主人公・衣笠幸夫を演じた本木は、「頭に心に監督のこと、役のこと、物語のことをいつも抱えていた1年」で、「その時間が何かを熟成させ共通言語を生んで、より全体が一丸となっていくような撮影でした」と語る。そして夏編の撮影終了後、西川監督から冬編では「毒が抜け、新たに建て直す場所に立つ、更地の少年のような幸夫を見せてほしい」と言われ、約8キロ減量。「同時に気持ちもどこか軽く自由になって、ようやく幸夫と同化できたような気になりました」と振り返る。
直木賞候補になった自らの書き下ろし小説の映画化に挑んだ西川監督は、「こんな経験は私も初めてだったのですが、長い時間をかけて丁寧に撮影することで、子どもたちもどんどん大きくなっていくし、キャストやスタッフの変化を受けて撮影していくことが当たり前になった気がします」と述懐した。
撮影最終日には、本木をはじめ、ミュージシャンで俳優の竹原ピストル、子役の藤田健心くんと白鳥玉季ちゃんが、都内のカフェでラストシーンに臨んだ。竹原の誕生日だったことから、現場は和やかな祝福ムードに包まれながらも、撮影が進むにつれ感情を高めていく本木を中心に緊張感があふれていたという。
西川監督は、初タッグとなった本木について「自分が想像していた合格点のラインをポンと抜けたカットが確かにあって、そういう瞬間を見させていただけたのは、本木さんご自身が持っていらっしゃる真っ直ぐさがあってこそだと思いました」。一方の本木は、「時に鋭く、そして愛ある豊富な言葉を使って、幸夫を、僕自身を、監督のいう“かすかな幸福感”へと導いてくれた気がしています」と語る。
さらに本木は、「この映画が成功するとしたら、そのワケの6割以上は竹原ピストルさんのキャスティングにあるんじゃないでしょうか(笑)」と絶賛し、すっかり竹原に魅了された様子。また、「お芝居経験のほぼない健心くんや玉季ちゃんがリアルに魅力的だったので、それを眺めながら自然と思い入れていくことができました」と長期にわたる撮影で大きく成長した子役たちとの共演を振り返った。
バスの事故で妻を亡くした人気作家の幸夫が、同じ事故で母親を亡くした真平と灯の兄妹を世話するうちに、これまでに感じたこのない生きがいを見出すさまを通し、人と人との別れと出会いを鋭くも優しいまなざしで描く人間ドラマ。主人公の幸夫を本木、真平役を健心くん、灯役を玉季ちゃん、兄妹の父親でトラック運転手の陽一役を竹原が演じる他、堀内敬子、深津絵里らが共演する。今秋公開予定。
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