「レイジング・ブル」脚本家がファティ・アキン新作で34年ぶりに復活 その理由は?
2015年12月25日 08:00

[映画.com ニュース]トルコの俊英ファティ・アキン監督の最新作「消えた声が、その名を呼ぶ」が、12月26日に公開される。本作は100年前にオスマン・トルコで起きた、アルメニア人虐殺という歴史的悲劇を背景に、主人公が生き別れになった娘を探し続ける旅を描いた物語。マーティン・スコセッシの名作「レイジング・ブル」の脚本家マーディク・マーティンが、アキン監督と共同脚本という形で、実に34年ぶりに長編作品に携わっているが、伝説的脚本家の復活には、大きな理由があった。
本作は、トルコの灼熱の砂漠から、海を越えてはるか遠く米ノースダコタの雪降る荒野まで地球半周、8年の歳月をかける旅路を描く壮大な物語だ。アキンは、脚本が完成段階に入り、よりアメリカ的な脚本にしたいと考え、スコセッシに相談をした際にマーティンを紹介された。ふたりはとことん話し合い、マーティンはアキンが用意したラストを丸々と書き換えるほど並々ならぬ意欲で脚本に取り組んだ。
「ニューヨーク、ニューヨーク」「レイジング・ブル」などの成功で、夢が叶ったと満足して脚本の現場を離れ、現在は南カリフォルニア大学で教鞭をとるマーティン。実はマーティンの母方の祖父はアルメニア系で、本作の背景となった事件で家族が住んでいた村を守るために命を落としていた。自身のルーツであるアルメニア人がどんなことを経験してきたのか、そろそろ観客が知るべき時だと考え、本作への参加を強く望んだのだった。
「アルメニア人ジェノサイドの生存者の物語は、取扱いに注意が必要なテーマだ。それに取り組める勇気のある人はいないと思っていた。ファティにはその勇気があり、私の夢を叶えただけでなく、彼はもっと遠くへと行ったのだった。そして作品を見た時に、タハール・ラヒムが到達した驚くべき境地の演技に圧倒された。映画のすべてが完璧だった。当時の感覚とその混乱と激変について、観客が掘り下げてくれることだけを祈っている。アルメニア人の私にとっては、これはとてつもない冒険映画なのだ」とコメントを寄せている。
「消えた声が、その名を呼ぶ」は12月26日から角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国順次公開。
(C)Gordon Muhle/ bombero international
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