巨匠エルマンノ・オルミの名作「木靴の樹」が26年ぶりに再公開
2015年12月5日 07:30
1979年の初公開時のメイン劇場、東京・岩波ホールに37年の時を経て再びスクリーンに戻る本作は、19世紀末の北イタリア、ベルガモの農村を舞台に、大地主の厳しい搾取のもとで貧しい生活を強いられながらも、大地とともに力強く生きる農夫たち4家族の生活が描かれる。ベルガモ地方出身のオルミ監督が、幼いころから祖母に聞いていた昔話をもとに、20年間構想をあたためた作品で、出演者は全て素人のベルガモの農民たちを起用し、監督・脚本・編集・撮影全てオルミ監督自身が担当した。
1978年のカンヌ映画祭では、3時間7分に及ぶ長尺で、自然光での撮影による徹底したリアリズムにより、ドキュメンタリーのような作風の本作が他のコンペ作品を圧倒し、審査員の満場一致という当時異例の決定でパルム・ドールを受賞。その後、ニューヨーク批評家協会外国語映画賞やセザール賞外国語映画賞など各国の映画賞を総なめにし、翌年の日本公開ではロングランヒットを記録した。
83歳になったいまなお映画を撮り続けているオルミ監督は、経済システムや生活スタイルの変化に伴い人々の価値観が変わっていく中でも、ヒューマニズムを信じ、市井に生きる人々を優しく見つめながら社会に埋もれた声を伝え続けている。なお、同劇場では4月23日公開の最新作「緑はよみがえる」も待機している。
「木靴の樹」は3月26日から、岩波ホールほか全国順次公開。
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