イーライ・ロス、密林カニバリズム「グリーン・インフェルノ」でネット通じた慈善活動を風刺
2015年11月26日 19:30
[映画.com ニュース] 森林伐採を阻止しようアマゾンに向かった学生の慈善活動グループが、飛行機事故の果てに食人族に遭遇する。「ホステル」シリーズのイーライ・ロス監督が、密林で繰り広げられる地獄絵図を描いた「グリーン・インフェルノ」について語った。
「ホステル2」以来約6年ぶりとなる長編監督作は、ルッジェロ・デオダート監督作「食人族」(1981)を原案に撮りあげたカニバリズムホラーだ。「食人族」との出合いを「すごく本物っぽくて、これを製作した人は『なんてクレイジーなんだ!』と衝撃を受けました」と振り返り、「アメリカはCGを多用したホラー映画ばかりだけれど、日本には園子温監督や三池崇史監督などがいらっしゃるので、日本にもCGをつかわずとも素晴らしいホラー映画がたくさんあると思います。アメリカでもそういうクレイジーなホラーを作りたいと思いました」と容赦ない残酷描写満載のロスワールドを生み出した。
撮影は、「他とは違うユニークなものにしたかった」と実際にアマゾンで敢行。村人たちは「映画を撮るということはフリをするということ、演技をするということであり、物語を伝えることが大切と分かってくれていたので、食人族になることも理解して引き受けてくれました」「うまく演じなければならない、カッコつけようという概念が元々彼らにはなく、ただ頑張っていいものを作りたい、またはやってみたいという気持ちで演じてくれたので、すごく自然にみえました」と食人族になりきった。
アマゾンに足を踏み入れた人間を襲い、奇怪な儀式のいけにえや食料として貪り食らう姿は強烈すぎるほど。しかし「農民なので、映画のようなメイクをしているわけではなく、ふだんは全然違う身なりをしているんですよ。でも、特殊メイクもやりたがってくれました。毎日一日が終わると体についた血のりを川で洗い流したり、撮影に参加した小さな男の子が女優さんのことを好きになったり、ほほ笑ましい場面もありました」と笑いも起こる和やかな現場だったようだ。
食人族のえじきになる主人公は、ロス監督の妻で女優のロレンツォ・イツォが挑んだ。「パートナーとして、また一緒に作品を作るという協力者として、本当にすばらしい相手を得た」とのろけ、「次回作『Knock Knock』では、ロレンツォはサイコパスの役を演じているのですが、あのキャラクターは彼女が演じることを想定して彼女のために用意した役ですし、女優としても素晴らしい人だと思っています」と手放しで絶賛している。
劇中、惨劇の引き金を引くのは、意識の高い活動家の青年だ。彼の呼びかけのもと集まった学生たちは、環境保護を掲げ過激な行動におよび、YouTubeで自分たちの活動を拡散する。ロス監督は、そんな彼らの行動に風刺を込めた。
「Twitterを利用し、情報をリツイートすることで誰でも手軽に社会に貢献できていると思っているけれど、実は内容を良く知りもせずに正義を主張している人がいるのを見ていて、Twitterで主張することは、人助けという意味よりは自分がどう見られているかを気にしているにすぎないと僕は思っています。そういったことが最近増えてきているように思ったので、今この時期にネットを通しての慈善活動を風刺するメッセージを込めるのも良いのではと思いました」
ホラーを多く手がけてきたロス監督。「ホステル」に続き、「グリーン・インフェルノ」のシリーズ化も視野に入れているようだ。「シリーズ化はしたいと思っています。ただ、今回の興行収入次第かなと思っています。ヒットするかしないかによるかな(笑)。僕自身は続けていきたいですが……ファンが認めてくれれば、資金も入って来るんじゃないかな」。「グリーン・インフェルノ」は、11月28日から全国で公開。
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