「エベレスト3D」日本人登山家役の森尚子、命がけだった世界最高峰での撮影を回想
2015年11月2日 12:45
森は、家族と4歳で渡米後、12歳で英ロンドンに移住し、2年後の両親の帰国後も1人で同所に残り、ロンドンの芸能学校「ナショナル・ユース・ミュージック・シアター」でジュード・ロウらと共に演技を学んだ。その後、17歳で人気ミュージカル「ミス・サイゴン」の主役に抜てきされ、日本人女優初の英ウエスト・エンドでの主演を果たした経歴を持つ。
テレビ映画「ジョン・レノンの魂 アーティストへの脱皮 苦悩の時代」(10)ではオノ・ヨーコを演じた森だが、日本人女性として2人目のエベレスト登頂者かつ7大陸最高峰登頂者である難波氏を演じるにあたって、入念なリサーチはもちろん、登山家としての肉体作りが不可欠だったという。「元々山に登ったことはないんです。長時間歩けるようになるためスタミナをつけろといわれ、2カ月くらいトレーニングしました」。だが、訓練を積んでもエベレストの環境は想像を絶する過酷さだったそうで、「標高3440メートルのナムチェバザールまでは何とか行けて、そこからがきつい。靴ひもを結ぶだけで息切れしてしまうし、5分で戻れる距離を歩くのに1時間くらいかかる。なかでも、睡眠時の無呼吸が1番怖かったです。すごく寒かったし、何度も起きてしまいました」と、肌で感じた大自然の過酷さを語った。
本作は、エベレスト登頂ツアーに参加した登山家たちが、ブリザードが吹き荒れるなか、帰還しようともがくさまを迫力の映像と共に描いている。森は、登山家の1人を演じ、共演シーンが多かったというジョシュ・ブローリンを「私のヒーロー」と呼び、「あまりに撮影が過酷でしたから、ジョシュもインタビューで『役者辞めたい(と思った)』って言っていました」と語る。最大の難関はブローリンと共に地面に倒れたまま、雪に埋もれるシーンだったそうで、「雪が凍って出られなくて、スタッフ6人がかなづちで(凍った雪を)割って、引っ張ってもらった。マイナス28度での撮影では、雪崩が起きるから逃げたり、セットがなくなっちゃったりということが毎日のようにありました」と、約4カ月に及んだという壮絶な撮影現場を振り返った。
だが、そのかいあって、森は「人がなぜ山に登るのかわかりました」と笑顔を見せる。「エベレストで見た光景は神秘的というか壮大というか、涙が出ちゃいました。こういう環境に置かれると自分と向き合える。人間ってちっぽけなんだなと思いました」。そんな森は、完成した映画を見て「自然のすごさと過酷さを感じましたね。(出演者の表情を見て)これは演技じゃないな、って。ロケ撮影のつらさも思い出しました」と苦笑していた。ちなみに、現場で最も高い心肺能力を見せていたのは、「ジェイク(・ギレンホール)だった」という。
「エベレスト3D」は、森、ブローリン、ギレンホールのほか、ジェイソン・クラーク、ジョン・ホークス、ロビン・ライト、エミリー・ワトソン、キーラ・ナイトレイ、サム・ワーシントンらが出演。メガホンをとるのは、「2ガンズ」(13)のバルタザール・コルマウクル監督。先日開催された第28回東京国際映画祭では、特別招待作品に選出された。11月6日から全国公開。
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