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「神様の思し召し」監督が語る現代のイタリア映画事情

2015年10月30日 22:15

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インタビューに応じるエドアルド・ファルコーネ監督
インタビューに応じるエドアルド・ファルコーネ監督

[映画.com ニュース] イタリア映画といえば、楽天的な笑いのエッセンスがキモ。その伝統を生かしつつ、人間ドラマの奥行きもプラスしたのが第28回東京国際映画祭コンペティション部門で上映された「神様の思し召し」だ。監督は脚本家として活躍し、本作で監督デビューを果たしたエドアルド・ファルコーネ。軽いコメディだけでない、深みのある作品を放つことでイタリア映画界では注目される存在。監督に、イタリア映画、そして本作について語ってもらった。

ここ近年、カンヌ映画祭やヨーロッパの映画祭でのイタリア映画は、次第にもともと持っていたポテンシャルが発揮されるようになってきたと感じていますが、実際のところイタリアでの映画ニーズはどうなっているんでしょう?

エドアルド・ファルコーネ監督(以下ファルコーネ監督):観客のレベルでは、特に違法ダウンロードなどという問題も非常に多くありますので、そういう意味でうまくいっていないところもあります。でも、最近はしばしばイタリア映画で良いものが生まれていますし、少し業界内が疲れているということもあるかもしれませんが、うまくいってほしいと思います。その点では、本作はイタリアでもみんな、びっくりしていました。これまでのイタリア映画は、カテゴリー、ジャンルでキッチリ分けられた映画が多く、その中で終わってしまうものが多かったのですが、本作はそれをミックスすることに成功したと思います。

このストーリーを思いつかれたきっかけを教えていただけますか。

ファルコーネ監督:まず、父親のキャラクターを考えました。彼は民主的な父親ですが、息子がある告白をしたときに、息子がゲイであること、つまりポリティカル・コレクトネスの問題は受け入れられるのですが、それ以外は受け入れられない。そして民主的ということは、息子と意見が合わなければならないので、その問題をずっと最後まで引きずっていきます。あとは精神性、宗教の問題です。これは最近のコメディでは扱われていないテーマなので、取り組みたいと思いました。まあ、ゲイを受け入れられない父親像というのは、ある意味ステレオタイプなわけですよね。それをひっくり返して、精神性、宗教性の方に持っていったんです。そうしなければ、当たり前すぎますから。

イタリアはカソリックの聖地のお膝元にありますけれども、あのような扱いで大丈夫だったのでしょうか?

ファルコーネ監督:全く問題なかったです。驚いたことに、まずカソリックの人たちが驚きながらも、喜んで受け入れてくれました。彼ら同士でもあまり話さないテーマを扱っていたからだと思います。通常、カソリックの問題は、どちらかというとちょっとインチキ臭いような形で語られているところがあります。例えば、テレビで扱われるときにもちょっとセンチメンタルな感じで描かれたり、誰もが求める神父像のようなものを描かれるから、本作のような描き方には関心を持ってもらえたんでしょう。

登場人物全員がキャラ立ちしていると感じられましたが、ここまで強いキャラクターをそろえたのは何か意図があったのでしょうか。

ファルコーネ監督:コメディというと、一般的には主人公だとかもうひとりくらいがとても強いキャラクターで、周りの人はいるだけ、というような場合があると思います。でも舞台劇などでは、強いキャラクターを揃えていくと、登場人物たちがそれぞれ出会った時に強い反応をしなければならなくなっていきます。僕はそういう風にしたかったのです。

脚本だけやっている時と、監督もやってみて、自分が書いた脚本を自分が思う通りの画で撮れるという自由度を、楽しまれたのではないでしょうか?

ファルコーネ監督:本当にそうだと思います。本作を撮ったあと、他の人の脚本で監督をやらないかというオファーも来たのですが、自分で書いて撮りたいと思いました。本作では、特にロングショットにこだわりました。テレビではカット割りだらけの作品が多いので、そのようにはしたくなかったのです。今、映画を見直しても、もっとカットを減らしたかったと思っているくらいです。コメディにはコメディのボキャブラリーがあります。その中で特別な効果を狙ったり、監督の狙いの画を撮ろうとすることで、観客がそれに引き付けられ、笑えなくなってしまうのです。ですから、そういう効果は避けなければならないと思いました。コメディはそこで何が起きているかをはっきり、ちゃんと見せなければならないと思ったのです。

(取材/構成 よしひろまさみち 日本映画ペンクラブ)

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