「ガールズ・ハウス」監督、イランの嫁姑問題に言及「しきたりを求めるときは、お互い尊敬するべき」
2015年10月29日 17:30

[映画.com ニュース] 第28回東京国際映画祭コンペティション部門出品作「ガールズ・ハウス」が10月29日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、 シャーラム・シャーホセイニ監督、俳優のハメッド・ベーダッドが会見した。
結婚式を翌日に控えた女子大生のサミラが死に、友人たちが調べ始めるが、サミラの父親は非協力的で要領を得ない。直前まで新居のカーテンを変えていたサミラに何が起きたのか。謎解きドラマの形を借りながら、伝統的なイスラム社会の影に踏み込んだドラマ。
高学歴の女性と仕事を持つ高卒の男性の結婚で、保守的な考えを持った親が重んじた古いしきたりが生んだ悲劇を描く。シャーホセイニ監督は「イラン社会では異なった階層同士が自由に結婚できるのが誇りです。たとえば嫁姑問題など、日本もしきたりの中で、厳しい伝統を持っていたと思います。私は、一つの伝統を批判するのではなく、しきたりを求めるときは、お互い尊敬するべきだと思うのです。問題だったのは処女検査を求めた姑側の態度です。尊敬をもって行えば、悲劇は起きなかったかもしれません」と語る。
サミラの婚約者を演じたベーダッドは「映画から一つの社会の文化を見ることができます。この映画に出てくる女性は大学に行っていますが、イランでも学歴が大事になってきています。実際問題として、男性は家族を養わないといけないので、仕事を手にするために進学をあきらめる長男もいます。そして、その機会を妹など家族のほかの女性に与えるのです。お互いに協力をしているのです」と登場人物の設定とイラン社会での現状を付け加えた。
自殺という行為がイランではどのように受け止められるか問われたシャーホセイニ監督は「イランでは家族、宗教、人間関係が大事です。自殺はイスラム教で罪ということもありますが、イランの家族はお互い愛情を持って生きているので、自殺はとてもショックなことなのです。サミラの家族は自殺そのものを隠したいので、葬式も出さず、逃げていくのです」と説明。「ガールズ・ハウス」というタイトルについては「ハウスはサミラのテリトリー、彼女の内面の扉を表しています。そこへは許可をもらってから入らなくてはいけない。そのためのハウスなのです」と題名に込めた意味を明かした。
東京国際映画祭は10月31日まで開催。
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