R・バドロー監督、イーサン・ホーク主演でチェット・ベイカーの半生を「再創造」した新作を語る
2015年10月24日 19:30
[映画.com ニュース] イーサン・ホーク主演でジャズミュージシャン、チェット・ベイカーを描いた「ボーン・トゥ・ビー・ブルー」が10月24日、東京・六本木ヒルズほかで開催中の第28回東京国際映画祭コンペティション部門で上映され、監督のロバート・バドロー、プロデューサーのジェニファー・ジョナス、音楽を手がけたジャズピアニストで作曲家のデビッド・ブレイドが会見した。
映画は、ドラッグにおぼれたベイカーの苦悩をとらえ、伝説的ミュージシャンの光と影を映し出す。 2013年秋、バドロー監督がジョナスらの元に脚本を持ち込んだことから企画がスタート。ホークがベイカー役に興味を持っていたことから主演に決定し、撮影前の6カ月間トランペットの練習に打ち込んだという。「6カ月というと短く感じるかもしれませんが、映画でこれだけ準備期間を取ることはなかなかありません。とてもラッキーでした」(ジョナス)。劇中、ホークは特訓を積んだトランペットに加え、歌声も披露している。
ブレイドにとって、バドロー監督とのコラボレーションは短編「ドリーム・レコーディング」以来、約11年ぶり。幼少期から影響を受けた音楽を題材にした作品への参加は、「夢のようなプロジェクト」だったという。「私はピアニストでチェット・ベイカーはトランペット奏者ですが共感できる部分が多く、彼の音楽でクリエイティブに創作できるチャンスをいただきうれしかったです。ただ、傷を負って起死回生を狙うミュージシャンの物語を音楽で語ることは非常に難しさもありました。ストーリーに合う形で曲をアレンジしていくことは楽しくもあり、非常にチャレンジングな作業でした」と振り返った。
いわゆる伝記映画とは違った作風だが、バドロー監督は資料に基づいた作品ではないとし、「リイマジニング(再創造)しています。再創造することで、即興性のあるジャズのスピリットにあったものが作れるのではないかと思いました」と説明。例としてベイカーが伝記映画を撮影する場面を挙げ、「実際にベイカーは(伝記企画を)アプローチされたのですが、実現しませんでした。それをこの映画で再現したら面白いのではないかと思ったのです。そうやってシュールで即興的ないかにもジャズ映画というものが完成しました。この作品は1960年代の彼の生活を再創造したものだと定義付けてもいいと思います」と熱を込めた。キャラクターも「相手役のジーンはチェット・ベイカーが交際していた女性たちを混ぜています」とユニークに構築した。
バドロー監督は、ベイカーをはじめジャズ界のレジェンド、マイルス・デイビスらを登場させることで「西海岸と東海岸のジャズの衝突を描いているのですが、人種間の問題もうまく表現できたのでは」と語る。ブレイドも、ミュージシャンの視点から「彼は真なるジャズの象徴であり、ニューヨークをベースにしたアフリカ系アメリカ人のミュージシャンの社会のシンボルとしても登場しているのではないでしょうか。ニューヨークは今もジャズのメッカですが、それぞれのジャズシーンが対象的に描かれています。アメリカのミュージックシーンでは依然として黒人白人ミュージシャンの緊張があり、モチーフとしてそういった社会的なものも描けているのでうまいなと感じました」と太鼓判を押した。
第28回東京国際映画祭は、10月31日まで開催。
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