フィリピンの映像作家、K・タヒミック「カプワの精神を世界に伝えたい」
2015年10月24日 15:45

[映画.com ニュース] 第28回東京国際映画祭CROSSCUT ASIA部門「お里帰り」が10月24日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、アジア・インディペンデント映画の父と呼ばれ、様々なジャンルを横断するアーティストとして知られるキドラット・タヒミックがティーチインを行った。
構想から35年を経て完成した長編映像作品。実際に世界一周を達成したのはマゼランではなく、マラッカ出身の奴隷エンリケであると主張するドキュ=ドラマ。2015年ベルリン映画祭フォーラム部門カリガリ賞を受賞した。
民族楽器を打ち鳴らし、歌いながら「ハリウッドブロックバスター大学を35年間かかって卒業したことを母に報告する」というシニカルなパフォーマンスで入場し、会場を騒然とさせたタヒミック。「私は枠にはめられるのが嫌なので、監督と呼ばれることは嫌いです。さまざまな手段で、私の考えを伝えることが大事なのです」と信念を語る。そして、竹を編んで作ったカメラのオブジェを持ち出し、「ハリウッド的な商業主義に走らず、フィリピンの伝統や現実社会を映す若手監督に授けて表彰しています」と説明した。
フィリピン人の観客から、「私たちは世界で出稼ぎ労働者のイメージを持たれているが、このように私たちの歴史や文化を大きな映画館で紹介してくれてうれしい」と感謝のコメントを受けたタヒミックは、「仕事や勉強などで、海外に出るフィリピン人は、外国に溶け込むために自分たちの伝統や文化を恥じるように感じますが、それは素晴らしい財産です。何かを決める際にお互いを尊重する“カプワ”という言葉があります。これは人間同士だけでなく、自然のことも考えます。この精神を世界に伝えて貢献したい」と呼びかける。
さらに、16世紀末から続いた植民地支配や占領の歴史に触れ、「西洋の教育や文化が我々の文化に大きく影響を与えた。自然とともに生活し、木の伐採も必要な分だけ行うべき。利益主義に走ることで温暖化などの環境問題が引き起こされていることを考えてほしい」と訴えた。
東京国際映画祭は10月31日まで開催。
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